『ややこしい期待値』解答


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【練習問題】

スイッチの状態をONの数で分類して考えると、次のような中央に寄りたがる乱歩になります。

それぞれの状態からの期待値を E(0),E(1),E(2)とします。
これらには 上図より次の関係があります。

E(0)=1+E(1)

E(1)=1+E(0)
3
+(1+E(2))*2
3
=1+E(0)
3
+E(2)*2
3

E(2)=1
3
+(1+E(1))*2
3
=1+E(1)*2
3

これを計算すると E(0)=10 E(1)=9 E(2)=7
よって 10 です。

【本命問題】

n個の場合も同様にE(k)を定義し、E(-1)=0 E(n)=0 とすると
E(k)が満たすべき方程式は k=0〜n-1に対して

E(k)=(1+E(k+1))*n-k
n
+ (1+E(k-1))*k
n

これを変形すると次のような3重対角行列の線形方程式である。

-k*E(k-1))+n*E(k)-(n-k)*E(k+1)) = n

各行の係数の和=0であることを用いると、この係数行列の行列式は容易にn!であることが分かる。

従って、期待値E(0)は

分子の行列式のクローズな式は検討課題であるが、このままでも下三角行列に近いので具体的計算は容易。

もうすこしクローズな形式としては、順次分子の行列式を展開してゆく事により得られる漸化式
G(1)=(n-1)! 、 G(k+1) = n! + k*G(k)
n-k
,k=1..n-1

を用いて

E(0) =k=n
Σ
k=1
G(k)
(n-1)!

が得られる。一部計算結果を下表に示す。

n234567891020
E(0)41021.3342.6783.2161.1312.08607.091186.51111424
2n4816326412825651210241048576

より少し多いだろうと見積もられる予想に一致している。


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