◆千葉県 緑川 正雄 さんからの解答。
(Bの事例)
G:可換でない群
○:その演算
x,y∈Gに対して
x〜y⇔x○y=y○x と定義する。
(1)反射律
x∈Gに対して常にx○x=x○xであるから
x〜xが成立する。
よって反射律が成立する。
(2対称律
x,y∈Gに対してx〜yが成立する時
x○y=y○xであるから
y○x=x○y
よってy〜xとなり、対称律が成立する。
(3)推移律
Gは可換でない群であるから適当なx,y∈Gで
x○y≠y○xが成立する。
Gの単位元をeとする。
x○e=e○xかつ
e○y=y○eであって
x○y≠y○x
すなわちx〜eかつe〜yであってx〜yでない。
よって推移律は成立しない。
(Dの事例)
Z:整数の集合
x,y∈Zに対して
x〜y⇔y≠x+1と定義する。
(1)反射律
x∈Zに対して常にx≠x+1であるから
x〜xが成立する。
よって反射律が成立する。
(2)対称律
0,1∈Zに対して0≠1+1かつ1≠0+1であるから
0〜1であるが1〜0でない。
よって対称律は成立しない。
(3)推移律
0,1,2∈Zに対して
0≠1+1,2≠0+1かつ2=1+1であるから
即ち1〜0かつ0〜2であって1〜2でない。
よって推移律は成立しない。
(Fの事例)
Z:整数の集合
x,y∈Zに対して
x〜y⇔x+y=0と定義する。
(1)反射律
1∈Zに対して常に1+1≠0であるから反射律は成立しない。
(2)対称律
x,y∈Zに対してx+y=0ならばy+x=0であるから
x〜yならばy〜xである。
よって対称律が成立する。
(3)推移律
1+(-1)=0かつ(-1)+1=であるが1+1≠0であるから
即ち1〜-1かつ-1〜1であって1〜1でない。
よって推移律は成立しない。
(Hの事例)
Z:整数の集合
x,y∈Zに対して
x〜y⇔y=x+1と定義する。
(1)反射律
x∈Zに対して常にx≠x+1であるから反射律は成立しない。
(2)対称律
x,y∈Zに対してy=x+1ならばx≠y+1であるから
x〜yであるがy〜xではない。
よって対称律は成立しない。
(3)推移律
x,y,z∈Z
x〜yかつy〜zの時y=x+1かつ z=y+1であるから
z=x+2となりx〜zは成立しない。
よって推移律は成立しない。
●参考(青木注)
掲示板の方でN.C さんが、対称律と推移律が成り立っても、反射律が成立しない事例として、2つの実数xとyについて
「xとyが同符号」であることを「xy>0」と定義する例を報告されています。
(すなわちEの事例)
掲示板から引用しますが、このやり方だと「同符号」という関係は,反射律が成り立たなくなります。
(0と0は同符号でなくなる)
また けめ丸 さんが、岩波数学事典から
「反射律 x 〜 y」の代わりに、
「任意の x に対して、x 〜 y である y が少なくとも一つ存在する」としても、同値の定義として同等である。
ことを報告されています。
◆東京都 四年寝太郎 さんからの解答。
E)のパターンはないと思います。
2)よりx〜y→y〜x
3)よりx〜y,y〜z→x〜z
ここで、z=xとしてみると、
x〜yならば2)より3)の条件y〜z(=x)が成立する。
よって、x〜z(=x) つまりx〜xとなり、1)が成り立たないことに矛盾。
ただし、任意のyに対してx〜yでないような関係においては
x〜yとなり得ないので矛盾はしない。
が、関係といえるのかな?
【コメント】
>ただし、任意のyに対してx〜yでないような関係においては
>x〜yとなり得ないので矛盾はしない。
>が、関係といえるのかな?
そう言われるとそんな気もしますが、「xとyが同符号」の例を見るとやはり関係だと納得してしまいます。
◆千葉県 緑川 正雄 さんからの解答。
四年寝太郎さんの回答’に対するコメント
この問題のきっかけは、掲示板1999年11月10日18時54分付けの‘千葉英明さんの’投稿がきっかけのようです。
同日19時05分の‘N.Cさん’の投稿の定義では、
同値関係の定義
1)x〜x
2)x〜y⇒y〜x
3)x〜y,y〜z⇒x〜z
となっています。
上の定義をより厳密に定義いたしますと
集合XとXの任意の要素x,yに対して、何らかの関係‘〜’を定義する。
〜’が以下の3つを満足する時、これを同値関係と言う。
1)全てのx∈Xに対してx〜xが成立する。
2)x,y∈Xがx〜yを満たすならばy〜xが成立する。
3)x,y,z∈Xがx〜y,y〜zを満たすならばx〜zが成立する。
上の定義の中で
1)については集合Xの全てが、この命題を満足しなくてはならない。
2),3)の命題については‘仮定’を満たさないXの要素については、何も論じていません。
具体的にいいますと
2)については‘x,y∈Xがx〜yを満たすならば’を満足しないx∈Xが存在するかもしれない。
3)については‘x,y,z∈Xがx〜y,y〜zを満たすならば’を満足しないx∈Xが存在するかもしれない。
これが、青木先生が‘●参考(青木注)’で示された事例の0(零)に相当します。
「1999年11月11日10時13分の‘N.Cさん’の掲示板の内容」
「同日14時11分の‘けめ丸さん’の掲示板の内容」も良く吟味して下さい。
これは、命題1)を満足しない可能性があります。
私の定義に書きなおしますと
X:実数の集合
x,y∈Xに対して、x〜yを
x×y(実数の乗算)>0と定義する。
Xの要素0(零)はこの定義によれば、1)を満足しないので関係‘〜’は反射律を満足しません。
しかし2)と3)については、各命題の仮定を満たす全てのXの要素について、命題の結論が成立します。
よってこの事例は、反射律を満たさないが、対象律と推移律を満足する事例(E)になります。
◆富山県 N.C さんからの解答(コメント)。
定義を厳密に適応しないと誤謬を招くことがありますが、同値関係はその最たるものですね。
掲示板に関連した話題を書いたとき、厳密な形で書くべきかどうか随分迷った(約1分ほど)のですが、省略してしまいました。
正しくは、千葉県の緑川氏のコメントの通りです。
(E)「反射律× 対称律○ 推移律○」の例
以前、掲示板にも書いたように(そして何度か引用されているように)
2つの実数xとyに対して
「xとyは同符号」を「xy>0」で定義すると、(E)の例になります。
「符号が同じ」という元々の意味からすると、0のように符号がプラスともマイナスともはっきりできない数に「同符号」という概念をうまく適応できないのは当然のことですね。
(F)「反射律× 対称律○ 推移律×」の例
上の例に対して、2つの実数xとyに対して
「x〜y」を「xy<0」で定義すると、(F)の例になります。
その他に,「xy≧0」なら
(B)「反射律○ 対称律○ 推移律×」の例、
「xy≦0」なら
(F)「反射律× 対称律○ 推移律×」の例ですね。
(B)「反射律○ 対称律○ 推移律×」の例
2つの実数xとyが近いかどうかは、その人のそのときの主観に依存するものなのですが、取りあえず
「x〜y」を「xとyの距離が1未満(|x−y|<1)」で定義すると(B)の例になります。
(D)「反射律○ 対称律× 推移律×」の例
上の例を少し変えて、2つの実数xとyに対して
「x〜y」を「x−y<1」で定義すると(D)の例になります。
(でも、少し作為的で面白くない例ですが。)
◆広島県 ビンタ さんからの解答。
(F)
ある人間に対して、〜を恋人同士であると定義する。
このとき反射律は、a君はa君の恋人でないので、成り立たない。
また対称律は、明らかに成り立つ。
推移律は、aとbが恋人同士で、bとcが恋人同士のとき、aとcが恋人同士であるとは限らないので、不成立であ
る。
◆青木コメント。
対象律は明らかに成り立つのでしょうか?(^^;
また反射律もナルシストもいるので。。。