『高校生からの挑戦状Part9』解答


◆岡山県 BWV542 さんからの解答。

単位円周上の任意の n 個の点について、それらまでのn個の距離の積が 2 以上となるような点が円周上に存在することを示す。

《証明》

複素平面で考える。
単位円周上の n 個の点を z[1], z[2], ……, z[n]という複素数で表す。
そして、多項式

P(w)=(w−z[1])(w−z[2])……(w−z[n]) を考える。

今から、|P(w)|≧2 かつ |w|=1 となるような複素数 w が存在することを示す。

|z[k]|=1 (k=1,2,……,n)により、
z[1]*z[2]* ……*z[n]=(−1)n
となるように座標を設定しても一般性を失わない。

よって、

P(w)=wn +a[n-1]*wn−1+ a[n−2]*wn−2+ …… + a[1]*w +1

という形に展開できる。

いま、1 の相異なる n 乗根を w[1], w[2], ……, w[n] とする。

k=1,2,……,n−1 において、

w[1]k + w[2]k+ …… + w[n]k
=w[1]k+ (w[1]k)2+ (w[1]k)3+ …… + (w[1]k)n
=(w[1]k)*((w[1]k)n −1)/(w[1]k−1)
= 0

となるので、 P(w[1]) + P(w[2]) + ……+ P(w[n]) = 2n.

両辺の絶対値をとり、三角不等式を用いると、
|P(w[1])| + |P(w[2])| + …… +|P(w[n])| ≧ 2n.

従って、|P(w[1])|, |P(w[2])|, ……, |P(w[n])| のうち、ひとつは 2 以上である。

以上より、|P(w)|≧2 かつ |w|=1 となるような複素数 w が存在することが示せた。
(証明終)


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