『高校生からの挑戦状Part5』解答


◆山梨県 Footmark さんからの解答。

数列の項数は14が最多。

+1a,+1a,+1a,-5a,+1a,+1a,+1a,+1a,+1a,+1a,-5a,+1a,+1a,+1a 

連続7項の和=+1a>0 
連続11項の和=−1a<0
(ただし、aは正整数)


◆出題者のコメント。

山梨県のFootmarkさんの解答は残念ながら違います。


◆広島県 清川 育男 さんからの解答。

項数15も可能ですね。

一例

-5,3,5,-5,-5,3,5,-5,3,5,-5,-5,3,5,-5

まだまだ可能ですね。フィボナッチ数列と関係ありそうです。


◆埼玉県 \aleph_0 さんからの解答。

Nを項数とする.
1≦n≦m≦Nに対して

S(n,m)=f(n)+f(n+1)+...+f(m)

とおくと,与えられた条件より,

1≦n≦N-6に対して,S(n,n+6)>0,
1≦n≦N-10に対して,S(n,n+10)<0

であるから,

(1) 1≦n≦N-10に対して,
f(n+4)+f(n+5)+f(n+6)=S(n,n+6)+S(n+4,n+10)-S(n,n+10)>0,

(2) 1≦n≦N-13に対して,
f(n+3)=S(n,n+10)+S(n+3,n+13)-S(n,n+6)-S(n+4,n+10)-S(n+7,n+13)<0

であるが,N≧17と仮定すると,

(1)においてn=1とおくと,f(5)+f(6)+f(7)>0,
(2)においてn=2,3,4とおくと,f(5),f(6),f(7)<0

となり矛盾.したがって,N≦16を得る.

一方,N=16のとき,整数a≧0に対してf(n)を以下のように定めれば,与えられた条件を満たす.

n 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16
f(n) -(a+5) -(a+5) 4a+13 -(2a+5) -(2a+5) -(2a+5) 4a+13 -(a+5) -(a+5) 4a+13 -(2a+5) -(2a+5) -(2a+5) 4a+13 -(a+5) -(a+5)

【追加問題についての証明(略解).】

M(p,q)=p+q-2.

まず,M(p,q)≦p+q-2をmin{p,q}に関する帰納法により示す.
一方,次の命題を「max{p,q}をmin{p,q}で割った余りr」に関する帰納法で示す.

命題.任意の正の整数s, tに対して次の条件を満たす有限列が存在する.

(a) 項数はp+q-2で,各項は0でない整数.
(b) 周期p, qを持つ.
(c) 最初のp項の和=s,最初のq項の和=-t.

これよりM(p,q)≧p+q-2が従う.


◆山梨県 Footmark さんからの解答。

取っつきやすい問題にしては、結構面白いですね。
前回の解答のように安易に試行錯誤で求めたのでは駄目ですね。^^;

最多項数を得るだけなら、一般に以下のような再帰的手法も可能です。
s(n)は連続n項の和を表すものとします。
また、s(x)が起きない時は、条件「s(x)はy」を満たすものとします。

本問を例にします。

s(11)<0 , s(7)>0 の条件を満たす数列は、その数列の初項から7項を取り除くと
s(7)>0 , s(4)<0 の条件のを満たす数列を求めることになります。

同様にその数列の初項から4項を取り除くと
s(4)<0 , s(3)>0 の条件を満たす数列を求めることになります。

同様にその数列の初項から3項を取り除くと
s(3)>0 , s(1)<0 の条件のを満たす数列を求めることになります。

s(3)もs(1)も同時に起きると明らかに矛盾します。
(一方の項数がもう片方の項数の整数倍なら同時に起きると矛盾。)

よって、多い方のs(3)を起きなくする必要があります。
すると、条件を満たす最多項数は3未満の最大整数ですから2です。
今までとり除いた全項数に、この2を加えたものが求める最多項数になる筈です。

∴ 最多項数=7+4+3+2=16

この手法を利用すると、条件に示された2つの項数p,qが互いに素である必要はありません。

【追加問題の解答】

M(p,q)=p+q−2

[ 証明 ]

本問で示した再帰的手法を進めていくと、最後にs(r)とs(1)の条件になる。
(ただし、r>1)

元々p+qから始めたので、
p+q=(今までとり除いた全項数)+(r+1)。

ところで、最後に加えたのは(r+1)でなく(rー1)。

∴ M(p,q)=(今までとり除いた全項数)+(rー1)=p+q−2

【追加問題2の解答】

M(p,q)=p+q−{gcd(p,q)+1}
(ただし、gcd(p,q)はp,qの最大公約数。)

[ 証明 ]

p≠qなら、本問で示した再帰的手法を進めていくと、
最後にs(r)とs(gcd(p,q))の条件になる。
(ただし、r>gcd(p,q)≧1)

元々p+qから始めたので、
p+q=(今までとり除いた全項数)+{r+gcd(p,q)}。

ところで、最後に加えたのは{r+gcd(p,q)}でなく(rー1)。

∴ M(p,q)=(今までとり除いた全項数)+(rー1)=p+q−{gcd(p,q)+1}

p=qなら、p+q−{gcd(p,q)+1}=2p−(p+1)=p−1
s(p)(s(q)でも同様)は起きてはならないのでM(p,q)は明らかにp−1(q−1でも同様)。


◆埼玉県 \aleph_0 さんからのコメント。

Footmarkさん,さらなる拡張ありがとうございます.
これで,完全に一般の場合まで拡張されましたね.
せっかくなので,証明を完結したいと思います.

そこで,二つの命題を示します.
(命題1はFootmarkさんの証明の「焼き直し」ですが.)

命題1.条件(a)-(c)を満たす有限列(an)の項数Nについて,次の不等式が成り立つ.

N≦p+q-gcd(p,q)-1.

証明.
必要があれば(-an)を考えることにより,p>qとして一般性を失わない.
このとき,「pをqで割った余りr」に関する帰納法により示す.

簡単のため1≦n≦N-m+1に対して,
S(n,m)=a1+a2+...+an+m-1
(第n項から連続するm項の和.前回と定義が異なるのでご注意.)とおくと,条件(b),(c)より次が成り立つ.

1≦n≦N-p+1に対して,S(n,p)>0,
1≦n≦N-q+1に対して,S(n,q)<0.

まずr=0のとき,N≧pと仮定すると,
0<S(1,p)=S(1,q)+S(q+1,q)+...+S(p-q+1,q)<0
となり矛盾.
したがって,N≦p-1となり命題が成り立つ.

次にr>0のとき,「p'をq'で割った余り」<rである(p',q')に対して命題が成り立つと仮定する.このとき,

1≦n≦(N-p+r)-q+1に対して,S(n,q)<0,
1≦n≦(N-p+r)-r+1に対して,
 S(n,r)=S(n,p)-(S(n+r,q)+S(n+r+q,q)+...+S(n+p-q,q))>0

であるから,項数N-p+rの有限列(bn)を

bn=-an (1≦n≦N-p+r)

と定義すれば,
(bn)は(p,q)=(q,r)に対して条件(a)-(c)を満たすから,帰納法の仮定により,

N-p+r≦q+r-gcd(q,r)-1=q+r-gcd(p,q)-1.

となり命題が成り立つ.□

命題2.任意の正の整数s, tに対して次の条件を満たす有限列(an)が存在する.

(i) 項数はN=p+q-gcd(p,q)-1で,各項は整数.
(ii) 周期p, qを持つ.
(iii) a1+a2+...+ap=s, a1+a2+...+aq=-t.

証明.
必要があれば(-an)を考えることにより,p>qとして一般性を失わない.

このとき,k, rをそれぞれpをqで割った商と余りとし,rに関する帰納法により示す.
簡単のため,d=gcd(p,q)=gcd(q,r)とおく.

まずr=0のとき,d=qよりN=p-1であるから,
an=-t if q | n, an=0 otherwise (1≦n≦N)

とおけば,(an)は明らかに条件(i)-(iii)を満たす.

次にr>0のとき,「p'をq'で割った余り」<rである(p',q')に対して命題が成り立つと仮定する.
このとき,次の条件を満たす有限列(bn)が存在する.

(i') 項数はN'=q+r-d-1で,各項は整数.
(ii') 周期q, rを持つ.
(iii') b1+b2+...+bq=t, b1+b2+...+br=-(s+kt).

ここで,N'=q-1(⇔r=d)のときは,(iii')の第一式が成り立つようにbqを定義しておく.

このとき,

an=-bm if n≡m (mod q) (1≦n≦N)

とおけば,(an)は明らかに周期qを持ち,
また1≦n<n+p≦Nならば1≦n+r≦N'であるから,

an+p=an+r=-bn+r=-bn=an

となり周期pを持つ.さらに,

a1+a2+...+aq=b1+b2+...+bq=-t,

 a1+a2+...+ap
=-k(b1+b2+...+bq)-(b1+b2+...+br)
=-kt+(s+kt)
=s

であるから,(an)は条件(i)-(iii)を満たす.□

さて,命題1より,M(p,q)≦p+q-gcd(p,q)-1が分かります.

一方,命題2においてs=p, t=qとおくと,
有限列(cn)=(2an+1)は条件(a)-(c)を満たします.

したがって,M(p,q)≧p+q-gcd(p,q)-1が分かります.

以上より,M(p,q)=p+q-gcd(p,q)-1が得られます.


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