『高校生からの挑戦状Part26』解答


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【問題1】

問題を言い換えると、 GCD(a,b)=GCD(a-2,b-2)=1を満たす2整数a,bから
演算 x♀y=x2-yにより全ての整数を生成可能であるということである。

以下すべて整数において考える。

(補題1)

GCD(α,β,γ)=1であるとき、
(l,m,n)があって 1を 1=lα+mβ+nγで表わすことが可能である。

∵互除法により最終的に1が残ることと補題1は等価である。詳細略

(補題2)

e、f、y∈Sのとき {x|x≡y mod |e2−f2|}⊂S

∵e♀(f♀y)=y+(e2−f2) 、
 f♀(e♀y)=y−(e2−f2)である。

従って数学的帰納法により
x≡y mod |e2−f2| であるxを全て作ることが可能である。

(本題)

p=a♀b q=b♀a とおく。
また、
α=a2-b2
β=p2-b2=a2(a2-2b)
γ=q2-a2 b2(b2-2a) とする。

このとき、補題2により
y∈Sなら (l,m,n)に対して y+α*l+β*m+γ*n∈Sである。

また、もし GCD(α,β,γ)=1であれば補題1により y±1∈Sである。

少なくともa∈Sが存在しているから、数学的に帰納法によりS=整数全体である。

以下 GCD(α,β,γ)=1を証明する。

まず、GCD(a±b,a)= GCD(±b,a)=1であるから 
GCD(α、β)=GCD(α, (a2-2b))である。
なお α=(a-b)(a+b)を利用した。

次に、
 GCD(a-b, a2-2b)
=GCD(a-b,a*(a-2))
=GCD(a-b,a-2)
=GCD(b-2,a-2)=1である。

従って、
 GCD(α、β)
=GCD(a+b, a2-2b)
=GCD(a+b,a(a+2))
= GCD(a+b,a+2)
= GCD(a+b,b-2)である。

同様にGCD(α、γ)= GCD(a+b,a-2)である。

よって
 GCD(α,β,γ)
=GCD(a+b.a-2,b-2)
=GCD(a+b,GCD(b-2,a-2))
=1

【感想】

不思議なくらい過不足無く、巧妙に組み建てられてありますね。  

【問題2】

ここでは問題にさらに、次の条件を加えて考える。

(1)平均が定義できることから、f(x)は任意の有界領域で有界である。
(2)f(x)は単写である。

任意の点A,Bを選びa=f(A),b=f(B)とする。
またA,Bを直径とする円周上に2点P0,Q0をとる。
ただし、P0,Q0は直径ABを挟んで対称点である。
なおp=f(P0),q=f(Q0)とする。

一般にi=0〜に対して、△PiABの内心をPi+1とする。
同様に、△QiABの内心をQi+1とする。
また、△APNNの内心をCN、△BPNNの内心をDNとする。
対称性からCN、DNは直径AB上である。

fの定義から f(Pi)= a+b+f(Pi-1)
3

これより
f(PN)= a+b
2
*(1-3-N)+p*3-N= a+b
2
+(p- a+b
2
)*3-N

同様に f(QN)= a+b
2
+(q- a+b
2
)*3-N

またfの定義から
f(CN)= a+f(PN)+f(QN)
3
= 2a+b
3
+((q+p)-(a+b))*3-N-1

同様に
f(DN)= b+f(PN)+f(QN)
3
= a+2b
3
+((q+p)-(a+b))*3-N-1である。

従って p,q,a,bは有界値なのでN→∞において
f(CN)→ 2a+b
3
,f(DN)→a+2b
3
である。

ところで、 P0の位置によりC点D点は直径AB上の全ての位置を取ることが可能である。

fは単写であるので
f(C)=f(D)= 2a+b
3
=a+2b
3
でなければならない。

即ち  a=bである。

下図は説明に使おうと作成したのですが、とりあえず挿絵です。


 『高校生からの挑戦状Part26』へ

 数学の部屋へもどる