『高校生からの挑戦状Part18』解答


◆東京都 かえる さんからの解答。

【問題2】

(1)p=2のとき
(Sの全元の和)= k(K+1)
が2の倍数であることが必要なので、
k≡−1、0(mod4)が必要

k=3のとき (1,2)(3)
k=4のとき (1,4)(2,3)

と題意の分割ができる。

また、k=nで題意の分割が可能ならば、
(n+1,n+4)(n+2,n+3)をそれぞれの部分集合に加えることにより、
k=n+4のときも題意の分割が可能となる。

従って、k≧3 ∧ k≡−1、0(mod4)で十分

以上より、k≧3 ∧ k≡−1、0(mod4)・・・(答)

(2)p≠2のとき
(Sの全元の和)= k(K+1)
がpの倍数であることが必要なので、
pが2でない素数であることから、k≡−1、0(modp)が必要

k=p−1、pのとき題意の分割ができないことは明らか。

k=2p−1のとき
 (1,2p−2)(2,2p−3)・・・・(p−1,p)(2p−1)

k=2pのとき 
(1,2p)(2,2p−1)・・・(p,p+1)

k=3p−1のとき 
(3p−1, 3p−1
)(3p−2,3p−1
+1)・・・

k=3pのとき 
(3p, 3(p+1)
)(3p−1,3(p+1)
+1)・・・

と題意の分割ができる。

また、k=nで題意の分割が可能ならば、
(n+1,n+2p)(n+2,n+2p−1)・・・(n+p,n+p+1)をそれぞれの部分集合に加え ることにより、
k=n+2pのときも題意の分割が可能となる。

従って、k≧2p−1 ∧ k≡−1、0(modp)で十分

以上より、k≧2p−1 ∧ k≡−1、0(modp)・・・(答)


◆千葉県 永山 祐介 さんからの解答。

【問題1】

おそらく、整数となるのは n = 3 の場合のみだと思います。
証明は途中までですが、いくつかの条件で整数になりえないことの証明を送ります。
あとは主に合成数の場合が上手く証明できず残ってます。

1) n = p > 3(3より大きい素数)の場合

予式が整数になるならば、分子は p を因数にもつ。

分子
= 2n + 1
= 2p+ 1
= 2p-1*2 + 1 ( mod p )

ここで、pと2は互いに素であることから、オイラーの定理より
= 1 * 2 + 1 ( mod p )
= 3

よって n = p > 3 では予式は整数にならない。

2) n = pm(p>3)(素数のべき乗で表せる)場合

分母 = p2mで割り切れるならば、分子はやはり p を因数にもつ。

今、2pm-1 + 1 が p で割り切れないと仮定する。

分子
= 2n+ 1
= 2pm+ 1
= 2 (p-1)pm-1 + pm-1+ 1

ここで、pと2は互いに素であることから、オイラーの定理より

= 1pm-1* 2pm-1+ 1 ( mod p )
= 2pm-1+ 1 ( mod p )

数学的帰納法により 2pm+ 1 は p で割り切れない。
よって、n = pm(p>3) では与式は整数にならない。


◆東京都 鳥居 さんからの解答。

【問題1】

答えから示すと n=3 のみが解となる。 これを次のステップで証明する。
◎ n の可能性は奇数。
◎ n の可能性は 3 の倍数。
◎ q を5以上の素数とするとき、n は 3q の倍数になり得ない。
◎ n は 9 の倍数になり得ない。
n は 3 の倍数でありながら、合成数になり得ないことから、n=3 を決定する。

◎「n の可能性は奇数。」の証明
n を偶数にすると、分子は奇数、分母は偶数になって、整数にならない。
よって、n は奇数に限られる。

◎「n の可能性は 3 の倍数。」の証明
以下では、n(≧3) は奇数とする。
問題を合同式を使って書き直すと、
[※] 2n≡−1 (mod n2)
を満たす n を求めることになる。

n を素因数分解して、最小の素因数を p とする。
n=pr とおく。r が1より大きければ、最小素因数は p 以上である。
[※]を満たすためには、少なくとも下記の合同式を満たす必要がある。
2pr≡−1 (mod p)
両辺を2乗すると
22pr≡1 (mod p)

一方、フェルマーの小定理より
2p-1≡1 (mod p)

法 p の下における 2 の位数を e とすると、下の事実が成立する。
・ e は pr を割り切らない、e は 2pr を割り切る、e は p−1 を割り切る。
p は n=pr の最小素因数としたから、p−1 は p とも r とも互いに素である。
よって、e=2 しか成立しない。
2e≡1 (mod p)
より、p=3 しか成立しない。
これは、n が 3 の倍数しかあり得ないことを意味する。

◎「q を5以上の素数とするとき、n は 3q の倍数になり得ない。」の証明
以下では、n は 奇数で、3 の倍数で、合成数とする。
ただし、n は 9 の倍数ではないと仮定する。
この仮定に基づき、n を素因数分解したとき、3 の次に小さい素因数を q とする。
n=3qs とおく。
q は5以上、s が1より大きければ、最小素因数は q 以上である。

[※]を満たすためには、少なくとも下記の合同式を満たす必要がある。
23qs≡−1 (mod q)
両辺を2乗すると
26qs≡1 (mod q)

一方、フェルマーの小定理より
2q-1≡1 (mod q)

法 q の下における 2 の位数を f とすると、以下の事実が成立する。

・f は 3qs を割り切らない、f は 6qs を割り切る、f は q−1 を割り切る。
q は qs の最小素因数としたから、q−1 は q とも s とも互いに素である。
よって、f=2,6 しか成立しない。

2f≡1 (mod q)
より、5以上の q としては、q=7 しか成立しない。

ところが、q=7 に対しては、
21≡2, 22≡4, 23≡1 となって、f=3 である。
矛盾が生ずるため q=7 は不適当である。

従って、満足する q は存在しないことになり、n は 3q の倍数になり得ない。

◎「n は 9 の倍数になり得ない」の証明
以下では、n は 奇数で、9 の倍数とする。
n を 3 の累乗で可能な限り割り算を行い、その累乗数を m とする。
n=3mt とおく。
m は2以上、t が1より大きければ、最小素因数は5以上である。

[※]を満たすためには、少なくとも下記の合同式を満たす必要がある。

23mt≡−1 (mod 32m)

両辺を2乗すると
22(3^m)t≡1 (mod 32m)

ここで、法 3k (k≧1) の下における 2 の位数を gk とする。
このとき、gk=2*3k-1 となることを数学的帰納法で示す。

法 31 の下では、21≡2, 22≡1 となるので、位数は 2 である。
このとき、法 32 の下では、22≡4=1+31 となることに注目しておく。
次に、2g_k≡1+3k (mod 3k+1) であると仮定する。
法 3k+2 の下では、2g_k≡1+3k+h*3k+1 (mod 3k+2) とおくことができる。
この両辺を2乗すると、22*g_k≡1+2*3k+32k+2h*3k+1 (mod 3k+2)
となり、法 3k+1 の下で 1 と合同にならず、2*gk は位数 gk+1 になり得ない。
3乗すると、23*g_k≡1+3*3k+3*32k+3h*3k+1≡1+3k+1 (mod 3k+2)
となって、法 3k+1 の下では 1 と合同になり、gk+1=3*gk となる。
そして、仮定した式は k+1 のときも成立することが示される。

満たされるべき合同式に戻ると、
法 32m の下での 2 の位数は 2*32m-1 であり、
この値は 2*3mt を割り切る必要がある。

t は3の倍数でないから、これを満たす m は 1 のみである。
しかし、ここでは m≧2 と仮定していたため、満足する m は得られないことになる。
よって、n は 32=9 の倍数になり得ない。

【問題2】

問題の条件を満たすためには、少なくとも S の和が p の倍数であることが必要である。
S の和=1+2+…+k=k(k+1)
2

◎ p=2 のとき
k≡−1,0 (mod 4) が解の候補である。
k=3 のとき、{1,2}, {3} のようにできる。
k=4 のとき、{1,4}, {2,3} のようにできる。
以下、数学的帰納法を使って証明する。

k=4n−1 (n≧1) まで成立していると仮定すると、
{4n,4n+3}, {4n+1,4n+2} をそれぞれの部分集合に加えることによって、
k=4n+3 でも成立することがわかる。


k=4n (n≧1) まで成立している場合も、
{4n+1,4n+4}, {4n+2,4n+3} をそれぞれの部分集合に加えることによって、
k=4n+4 でも成立することがわかる。

以上より、p=2 の場合は k=4n−1 (n≧1), 4n (n≧1) が解である。

◎ p≧3 のとき
k≡−1,0 (mod p) が解の候補である。
k=p−1 のとき、条件を満たすようにすることは不可能。
k=p のときも不可能。
k=2p−1 のとき、{2p−1}, {1,2p−2}, {2,2p−3}, …, {p−1,p} のようにできる。
k=2p のとき、{1,2p}, {2,2p−1}, …, {p,p+1} のようにできる。
k=3p−1 のとき、S に {0} を追加して、S の元の個数を 3p とし、これらを3個ずつの元を有する p 個の部分集合に分けることを示す。
(最終的に {0} が含まれる部分集合ができるが、この部分集合に対して {0} を除外しても元の和は変わることはなく、問題の解となる。)
S を T0={0, …,p−1}, T1={p, …,2p−1}, T2={2p, …, 3p−1} のように3つの組に分ける。

元の数値を p で割った余りに着目すると、
T0,T1,T2 ともに、{0, …,p−1} という集合になる。
ここで、p 個の集合 U0,…,Up-1 を以下のように定義する。
[A] 0≦i≦p−1
2
に対して Ui={i, p−1
2
+i,p−1−2i}
[B] p+1
2
≦i≦p−1 に対して Ui={i, −p+1
2
+i,2p−1−2i}
すると、どの Ui も元の和は 3(p−1)
2
となる。
また、Ui (0≦i≦p−1) の第1元に注目すると、0,…,p−1 が一通り現れる。
Ui の第2元に注目すると、[A]からは p−1
2
,…,p−1 が一通り現れ、
[B]からは 0,…, p−3
2
が一通り現れる。
Ui の第3元に注目すると、[A]からは 0,2,…,p−1 の偶数が一通り現れ、
[B]からは 1,3,…,p−2 の奇数が一通り現れる。

以上をまとめると、Ui の第1、第2、第3いずれの元に注目しても、
i を 0≦i≦p−1 で動かすと 0,…,p−1 が一通り現れることになる。

Ui の第1の元を T0から、Ui の第2の元を T1から、Ui の第3の元を T2から持って来ると、
[A] 0≦i≦p−1
2
に対して Si={i, 3p−1
2
+i,3p−1−2i}
[B] p+1
2
≦i≦p−1 に対して Si={i, p−1
2
+i,4p−1−2i}
と定義して、Si (0≦i≦p−1) の3個の元の和をいずれも 3(3p−1)
2
とすることができる。
k=3p のとき、「3p−1 のとき」で定義した Si (0≦i≦p−1) の各元を1ずつ加えたものを考えれば、問題の条件を満たす解となる。
具体的には以下のように書ける。(Si を再定義している。)
[A] 0≦i≦p−1
2
に対して Si={i+1, 3p+1
2
+i,3p−2i}
[B] p+1
2
≦i≦p−1 に対して Si={i+1, p+1
2
+i,4p−2i}
以下、数学的帰納法を使って証明する。

k=np−1 (n≧2) まで成立していると仮定すると、
{np,np+2p−1}, …, {np+p−1,np+p} をそれぞれの部分集合に加えることによって、
k=(n+2)p−1 でも成立することがわかる。

k=np (n≧2) まで成立している場合も、
{np+1,np+2p}, …,{np+p,np+p+1} をそれぞれの部分集合に加えることによって、
k=(n+2)p でも成立することがわかる。

以上より、p≧3 の場合は k=np−1 (n≧2), np (n≧2) が解である。

【コメント】

かえるさんの解答に沿った形で解答させていただきました。
が、かえるさんの解答で不完全に思うところがあります。
p≠2 の k=3p−1 と k=3p の場合で、元の分割方法が理解できません。
例えば、k=3p−1 の場合で、1,2,…,3p−3
2
はどこへ振り分けられるでしょうか?


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