◆東京都 px さんからの解答。
【問題1】
10a+1が2a+1で割り切れるためには
10a+1≡0 mod 2a+1
10a≡−1 mod 2a+1
10a≡2a mod 2a+1
これを満たすaは
2a+1=2,4,8
のどれかなのでこれをみたす自然数aは存在しない。
◆出題者のコメント
pxさんの回答の中でわからないところがあるので教えてください。
10a≡2a(mod 2a + 1) ...(1)
まではわかりますが、そこから
「これを満たすaは 2a + 1 = 2, 4, 8」
となるところがわかりません。
2a + 1と2aとは互いに素なので、(1)から
5a≡1 (mod 2a+ 1)となると思いますが、
これからでも「2a + 1 = 2, 4, 8」は言えるのでしょうか。
◆埼玉県 \aleph_0 さんからの解答。
#文字を多少変えてしまいましたが,ご了承ください.
【問題1】
以下,正整数mおよびmと互いに素な整数aに対して,
om(a)でaの法mに関する位数を表す.
また,素数pおよび整数a≠0に対して,vp(a)でaのp進付値(aを割り切るpの最高べき指数)を表す.
補題1.
整数aおよび正整数n, mに対して,m|an−1ならば,次が成り立つ.
(a) om(a)|gcd(n, φ(m)). (φ(m)はEuler関数)
(b) mが奇数で,mの任意の素因数pに対して
v2(p−1)>v2(n)ならば,(a/m)=1.
((a/m)はJacobi記号)
証明.
(a) an≡1 (mod m)より,om(a)|nであり,
Eulerの定理より,om(a)|φ(m)である.
(b) p|mならば,(a)より,op(a)|gcd(n, p−1)|(p−1)/2であるから,
Eulerの規準より,(a/p)≡a(p−1)/2≡1 (mod p).□
補題2.
kを非負整数とするとき,Fk=22k+1の任意の素因数pに対して,
v2(p−1)≧k+1.
証明.
22k≡-1 (mod p), 22k+1≡1 (mod p)であるから,
Fermatの定理より,op(a)=2k+1|p−1.□
定理3.
任意の正整数nに対して,2n+1は10n+1を割り切らない.
証明.
2n+1|10n+1と仮定すると,
10n≡-1≡2n (mod 2n+1)より,
5n≡1 (mod 2n+1)であるから,2n+1|5n−1.
このとき,k=v2(n)とすると,Fk|2n+1|5n−1であり,
補題2より,Fkの任意の素因数pに対して,v2(p−1)>v2(n).
したがって,補題1(b)より,(5/Fk)=1,すなわちFk≡±1 (mod 5).
ところが,F0=3, F1=5, Fk≡2 (mod 5) (k≧2)であるから,これは矛盾.□
【問題2】
#こちらは完全に解けたわけではないので,分かったところまで書きます.
まず,正整数nに対して,Mn=2n−1とおく.
このとき,Mn|(10n−1)/9ならば,10n≡1≡2n (mod Mn)より,
5n≡1 (mod Mn)であるから,Mn|5n−1に注意する.
また,d|nならば,Md|Mnにも注意する.
命題4.
正整数nに対して,Mn|(10n−1)/9ならば,nは奇数である.
証明.
nが偶数であると仮定する.
このとき,3|M2|Mn|(10n−1)/9より,
10n≡1 (mod 27)であるから,o27(10)=3|n,
したがって,6|n.
このとき,9|M6|Mn|(10n−1)/9より,
10n≡1 (mod 81)であるから,o81(10)=9|n.
このとき,73|M9|Mn|5n−1より,
5n≡1 (mod 73)であるから,o73(5)=72|n,
特に,4|n.
このとき,5|M4|Mn|5n−1となり矛盾.□
命題5.
正の奇数nに対して,Mn|5n−1とする.
このとき,Mnの任意の正の約数Dに対して,D≡±1 (mod 5)が成り立つ.
また,nの任意の正の約数dに対して,d≡1 (mod 4)が成り立つ.
証明.
D|Mn|5n−1であり,Dの任意の素因数pに対して,
v2(p−1)≧1>0=v2(n).
したがって,補題1(b)より,(5/D)=1,すなわちD≡±1 (mod 5).
特に, d|nならば,Md|Mnより,Md≡±1 (mod 5).
このとき,d≡3 (mod 4)と仮定すると,
2d≡23≡3 (mod 5)より,Md≡2 (mod 5)となり矛盾.□
命題6.
正の奇数nに対して,Mn|5n−1とする.
このとき,nの最小の素因数qに対して,次が成り立つ.
(a) q≡1 (mod 4).
(b) Mqの任意の素因数pに対して,p≡±1 (mod 5).
(c) Mqの任意の素因数pに対して,
s=「p−1の素因数rで,r≧qかつr≡1 (mod 4)であるもの全体(重複を含む)の積」
とおくとき,5s≡1 (mod p).
証明.
(a), (b)は命題5から従う.
(c)については,補題1(a)より,op(5)|gcd(n, p−1)|sに注意すればよい.□
以下は,小さな素数q≡1 (mod 4)に対するMqの一つの素因数p,および命題6のsと5s mod pの値である.
q | p | s | 5s mod p |
---|---|---|---|
5 | 31 | 5 | 25 |
13 | 8191 | 13 | 6586 |
17 | 131071 | 17*257 | 36977 |
29 | 233 | - | - |
37 | 223 | - | - |
41 | 13367 | - | - |
53 | 6361 | 53 | 4612 |
これより,Mn|(10n−1)/9ならば,nの素因数≧61が分かる.
最後に,与えられた条件を満たすMnの素因数の上界を与える.
補題7.
互いに素な整数a, b>1および正整数nに対して,
奇素数巾peがan−1とbn−1の両方を割り切るならば,
A={axby<pe | x, yは非負整数}とおくとき,#A≦nが成り立つ.
特に,log pe<√(2n log a log b) (底は任意の実数>1)が成り立つ.
証明.
an≡bn≡1 (mod pe)より,
任意の非負整数x, yに対して,(axby)n≡1 (mod pe)が成り立つ.
ところが,法peに関する1のn乗根は高々n個しか存在しないから,前半の主張が従う.
このとき,#Aはxy平面上の三角形「x≧0, y≧0, x log a+y log b<log pe」に含まれる格子点の個数に等しいから,
#A>(1/2)*(log pe/log a)*(log pe/log b).
これより,後半の主張が従う.□
命題8.
正整数nに対して,Mn|5n−1ならば,Mnの任意の素巾因数peに対して,
pe<2√(2cn) (c=log25).
特に,ω(N)を「Nの相異なる素因数の個数」とするとき,
ω(Mn)>√(n/2c)が成り立つ.
証明.
a=2, b=5に対して,底を2として補題7を適用すれば,前半の主張が従う.
後半は前半から従う.□
【問題3】
残念ながら,今のところ特に思いつきません.もう少し考えてみます.