◆山梨県 Footmark さんからの解答。
【問題1】
2つの一円玉の、ずらした方向の端から端までの長さ(cm)は
明らかに、2+A。
よって、重心位置(cm)は、その両端から 1+0.5A
【問題2】
【問題1】の結果と、0<A<1より、はみだし可能の長さ(cm)<1.5
つまり、1.5cm(一円玉の直径の3/4)未満なら、限りなくそれに近づけてはみだせる。
【問題3】
何こ重ねようと、机や各一円玉にとってみれば、自分より上にある一円玉全体の重心は、自分からはみだせない。
(はみだすと、上にある一円玉全体が自分(机や各一円玉)から落ちてしまう。)
ところが、そうならない範囲なら、一円玉の数を限りなく増やすことで、いくらでも全体の重心位置を1番下の一円玉の端に近づけられる。
よって、1番下の一円玉はほんの僅かでも面(点ではない)が机に接していれば理論的には可能。
つまり、2cm未満なら、限りなくそれに近づけてはみだせる。
【P・S】
一円玉の直径は約2pですが、多くの人が、「直径2pの円を描け」と言うとほぼ正確に書けるのに、「一円玉を描け」と言うと、実際より小さく描いてしまうそうです。
「それは一円玉を馬鹿にしているからだ」という説まであるとか…。
また、一円玉の重さはぴったり1g、いくつもあれば分銅代わりにも使えます。
◆愛知県 juin さんからの解答。
【問題1】
2つの一円玉の重心を結んだ線分の中点。
【問題2】
1つめの一円玉の重心の真下に2枚目の一円玉の端がくるようにする。
共通重心は2枚の重心の中点にあるから、
1+0.5=1.5
机から1.5cmはみだすことができる。
【問題3】
幾らでもはみだしてのせることができる。
理由
1枚目の一円玉の左端を0、中心をG1(1)として座標を入れる。
机の左端を1にあわせれば一円玉をのせることができる。
2枚目の一円玉の左端を1、中心をC2(2)にあわせる。
重心G2は1+1/2=3/2
机の左端をG2(3/2)にあわせれば釣りあう。
3枚目の一円玉の左端を3/2、中心C3を3/2+1にあわせる。
重心G3は線分G2C3を2:1に内分する。
C2G3=1だから、G3は1+1/2+1/3。
ここに机の左端をあわせる。
結局n枚の1円玉を重ねた時、重心Gnは1+1/2+...+1/nにある。
Gnに、机の左端をあわせれば良い。
◆山梨県 Footmark さんからのコメント。
なるほど、確かにjuinさんのおっしゃるとおり、いくらでもはみだせますね。(^^;
どれも、それより上にある一円玉全体の重心位置に、すぐ下の一円玉(最後に机)の左端を合わせるので、私の示した条件も鮮やかにクリアしている上に、はみだしも常に最大となりますね。
◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。
【問題3】
数学的にはjuinさんの答えでよいわけですが、現実にはどうなんでしょうか。
とはいえ完璧な現実を検討するのは無理なので、ここでは
(1)一様重力場g=9.8m/s
(2)風とか振動等はない
(3)机は水平でへこまない
(4)一円玉は完璧な均質円盤
半径r=0.01m、厚みh=0.0012m、質量m=0.001kg
(5)アルミの機械的特性として
σy=300MPa、E=80GPa、μ=0.15とします。
ここでσyは降伏(つぶれる)応力で航空機用の特に強いものの程度としました。
Eはヤング率(バネ定数)、μは静止摩擦係数です。
円盤の高さは問題設定よりもう少し精度を上げて1.2mmとします。
【つぶれない】
あまり高く積むと、下の方は重みに耐えかねて潰れます。
その限界の1円玉上の重さは πr2σyです。
一方n枚の1円玉の重さはngmです。
よって n=πr2σy/gm、全体の高さH=nh
張りだし量 X(n)= | n Σ i=1 |
[ | r i |
]≒r{ln(n+0.5)+0.57721979} |
です。
計算すると n=9617120、H=11.54km、X=0.16656m
すなわち約17cmです。
対流圏を超えてやっと17cmなのですね。
なお高さの縮み量(約0.2%)は無視しました。
【おちない】
最も問題なのはアルミが結構柔らかいことです。
(航空機に乗って乱気流に出くわすとエンジンポッドや主翼がグラグラ揺れていますよね。>,<")
まっすぐに積み上げれば前記の如くですが、この問題のようにずらして積むと、モーメントが働いてどんどん傾いてゆき、ついには滑り落ちてしまいます。
その傾きはμであって、0.15のとき約8.5度です。
下図模式図(n=100を誇張)参照
上からn枚をn+1枚目に置いたときのn+1枚目の中心を支点とするモーメントMnは
Mn=gmn*(r/n)+Mn−1=rgmn=rWn (Nm)
Wn=gmn (N)(総重量)
であり、非常に簡単な式で表されます。
モーメント当たりの1円玉の上面と下面の傾きの差Δθ(rad)はh/E Iです。
ここでIは断面2次モーメントと呼ばれ πr4/4です。
最上面を傾き0.15(0.149rad)であるようにして X(n)にそって積み上げて行き、最下面の傾きが0になったところが限界です。即ち
atan(μ)={(n+1)n/2}*rgmh/EI
です。計算すると
n=39887、H=47.864m、X=0.1117m
です。すなわち 11cm強になります。
なお円盤が傾いて張り出し方向に若干縮む効果(約0.6%)とか、細かいことを言うと角が出入りするとかは無視しました。
重さが約40kgfで、金額は約4万円ですから、H2ロケットの格納庫あたりで試せなくはないですね。
【P.S.】
【おちない】の前提として1列に積み上げるというのがあります。
これをはずして、複数列をレンガ壁のように積み上げてモーメントを緩和すれば【つぶれない】のオーダーになると思います。多分。
また、潰れない1円玉を仮定して、地球の引力と自転による遠心力の効果を考えると、面白い曲線が得られるかも。
少なくとも赤道面上では静止衛星軌道(36000km)以上には積めない。
◆出題者のコメント。
三人とも最終的には正解です。
特にY.M.Ojisan さんの解答には驚きました。
まさか・・・実際の物理的性質を細かく考えるなんてことをしてくださるとはすばらしいと思います。