『今週の問題』第27回 解答


◆広島県 清川 育男 さんからの解答。

【問題1】

1) A-E-B-C-D-A 12分
2) A-D-C-B-E-A 12分

【問題2】

図は奇点が2個なので一筆書きは可能ですが、奇点は起点か終点でなければならばい。
この場合
B---------D、D--------Bは可能である。

しかし、この問題は、Aが起点でかつ終点でなければならないので、一筆書きは不可能です。
ここでB-C、C-Dに道を入れると(往路と復路は別と考える)すべての点が偶点となる。
そうなるとどこを起点にしても、一筆書きが可能で起点が終点となる。
この場合は最短経路となる。

A-D-C-D-E-C-B-C-A-B-E-A 28分

答え 28分。


◆海外 西野 友朗 さんからの解答。

【問題1】

12分

例えば、

A→D→C→B→E→A
 2 1 2 3 4
【問題2】

28分

1.全ての道を通る最短ルートは、それぞれの道を1回だけ通る「一筆書き」のルートです。

ある図形が一筆書きできるかどうかは、以下の様に確認できます
(証明は省略)。

☆奇数個の線が出ている点を「奇数点」、偶数個の線が出ている点を「偶数点」とよぶことにすると:
a)奇数点が0個か2個の時だけ,一筆書きで図形が書ける。

b)奇数点が2個の時はその一つから書き始めなければいけない。
その場合、一筆書きはもう一方の奇数点で終わる。

c)偶数点ばかりだったら,どこから書き始めてもよい。
その場合、一筆書きの始点と終点は一致する。

2.問題の図形の各点が、奇数点・偶数点のどちらになるか確認すると:

線の数奇数点or偶数点
偶数点
奇数点
偶数点
奇数点
偶数点

となります。
一筆書きはできますが、その場合始点・終点がB・D(またはその逆)となり、題意を満たしません。

3.題意を満たすためには、幾何学的にはこの図形に線を追加して、偶数点だけからなる図形にしなくてはなりません。
ただし、無制限に線を追加していい訳ではなく、既存の線を2本にするような形で追加しなくてはなりません
(これは、この線の道を2回通ることに相当する)。

さらに、この問題は最短ルートを求めるものなので、追加する線はできる限り短くなくてはなりません。

4.それでは、どの様に線を追加すれば良いか検討します。
奇数点をなくして偶数点にしなくてはなりませんので、線の始点をB・Dにすべきことは明らかです。

BとDを結べば話が早いのですが、新しい道を作ることになり上記の条件を満たしません。

また、Bから始まる線の終点とDから始まる線の終点が異なる場合(例えば、B―CとD―E)、それらの終点が新たに奇数点となってしまい、これも条件を満たしません。

よって、Bから始まる線の終点とDから始まる線の終点は一致しなくてはなりません。
A・C・Eそれぞれの場合で、追加する線の長さがどうなるかを計算すると:

Aの場合: B―A4分、D―A2分、計6分
Cの場合: B―C2分、D―C1分、計3分
Eの場合: B―E3分、D―E3分、計6分

となり、B―C、D―Cの線を追加する(この道を2回通る)場合が最短となることがわかります。

5.この結果、最短ルートの所要時間は28分(各ルートの合計+3分)となります。
これは例えば:

A→D→C→A→B→C→E→D→C→B→E→A
 2 1 3 4 2 3 3 1 2 3 4
              2回通る部分
で実現できます。[完]


◆栃木県の小学生 M−善範 さんからの解答。

【問題1】の回答

A−E−B−C−D−A

【問題2】の回答

A−B−C−B−E−A−D−C−D−E−C−A

  28分

学校(6年2学期)では、一筆書きは、それぞれの点に集まる線の数が、どこも偶数のときと、奇数の点が2つのときに書けると勉強した。
この問題は、奇数の点が2つで普通ならできるが、スタート地点とゴールが交わる点が偶数のAと決まっているので一筆書きでは書けない。
そのために、Bの点とDの点の一番少ない2分と1分の線を往復することにより28分になりました。

スタート地点が決まっていなければ、
B−A−E−B−C−E−D−C−A−D となり簡単に書くことができる。


◆富山県 いくまる さんからの解答。

【問題1】

A→D→C→B→E→A (12分)

【問題2】

それぞれの地点から出ている道の数は、
A:4本、B:3本、C:4本、D:3本、E:4本。
BとDからは奇数本の道が出ており、この2点から出ている道のうち少なくとも1本ずつは2回通る必要がある。
これらの道から最も時間のかからない道をそれぞれ選び(B-CおよびC-D)、2回通るように経路を選ぶと、

A→B→C→B→E→A→C→E→D→C→D→A
(25+2+1=28分)

問題2の解答はこれで良いと思うのですが、問題1はヒントの時間があるのでこれが答えだと分かりました。
しらみつぶしで探すしかないのでしょうか。


◆東京都 Asami さんからの解答。

【問題1】

 最低4本の異なる道を通らねばならないが、異なる道を4本しか使わないとき、どの道も2回以上使わねばならないので和は少なくとも

(1+2+2+3)×2=16

異なる道を最低5本使うとき、
もし1,2,2,3,3(和が11)の道を通ることが実現可能なら、それが最短である。

しかし、AからスタートするのでA→D→C→Bを通らねばならないので、あと3,3で再びAに戻ることはできない。

次に、和が12となるルートを探してみる。
A→D→C→B→E→Aで、確かに和が12となるルートが実現している。……(答え)


補足

ここでは

『“n地点”のすべてを通るルート(再び同じ地点に戻る必要はない)が存在するならば、異なる道は少なくともn-1本存在しなければならない』

『“n地点”と“n-1本の道”に対し、地点Aからスタートしてすべての点を巡って再びAに戻ってくるには、どの道も少なくとも2回通らねばならない』

を認めてしまっています。

グラフ理論の最初の方に出てきそうな、直感的にほぼ明らかな命題であるとは思いますが、ついでですので、証明を書いておきます。


『“n地点”のすべてを通るルート(再び同じ地点に戻る必要はない)が存在するならば、異なる道は少なくともn-1本存在しなければならない』………★

◆証明:

n=2のとき明らか
n=kのとき成り立つと仮定して、n=k+1のとき、
どの地点からも2本以上の道が出ているなら、

異なるすべての道の数≧2(k+1)/2=k+1

ある地点Aから1本しか出ていないなら、たとえばA→Bとなっていたとすると、
”A”と“→”を取り除いた残りのk地点に関して、これらすべての地点を通るルートが依然として存在しているので、帰納法の仮定により、これらの間には 少なくともk-1本の異なる道が存在している。
再び“A”と“→”を戻すことによって、異なる道が少なくともk本あることがわかる。
(以上帰納法によって証明終了)


『“n地点”と“n-1本の道”に対し、地点Aからスタートしてすべての点を巡って再びAに戻ってくるには、どの道も少なくとも2回通らねばならない』

◆証明:

n=2のとき明らか
n=kのとき成り立つと仮定して、n=k+1のとき、
Aからスタートして次に着いた地点をBとすると、Bとはまったく別の地点CからAへと戻って巡回を終えることはあり得ない。
なぜなら、CA間の道を取り除いたら、k-1本しか道はないのだが、依然として“k+1地点”のすべてを通るルートが存在しているので、★より矛盾が生じるからである。

従って最後もB→Aと戻ってくるしかなく、AB間の道と点Aを除けば、BからスタートしてBへ戻るルートになっているが、これは帰納法の仮定より、どの道も少なくとも2回通っている。

従って、再びAB間の道と点Aを戻すことによって、どの道も少なくとも2回通らねばならないことがわかる。
(以上帰納法によって証明終了)

【問題2】

すべての道を通らねばならないので、もし、一回ずつ通るようなルート(=一筆書き)が存在すればそれが答えなのだが、B,Dは通過点だからそれぞれに接続する道は、偶数でないので不可能と分かる。
(やっぱりそこまで甘くないですね(^^;))

同時に、「全ての道を少なくとも1回は通らなければならない」ので、D,Bに接続する道で、少なくとも2回通らねばならない道が必ず存在することも分かる。

もし、CD間とBC間を丁度2回通るようなルートが存在すれば、それが最短ルートである。

実際、
A→E→B→C→E→D→A→C→D→C→B→A
の和が28のルートが存在している。………(答え)


◆石川県 平田 和弘 さんからの解答。

【問題1】の解答

Aをスタートとして最短で進むパターンは(逆順を除いて)次の10通りとなります。

順路          合計TIME(分)
A→B→C→E→D→A  14
A→B→E→C→D→A  13
A→B→E→D→C→A  14
A→C→B→E→D→A  13
A→C→D→E→B→A  14
A→D→C→E→B→A  13
A→D→E→C→B→A  14
A→D→E→B→C→A  13
A→E→B→C→D→A  12
A→E→D→C→B→A  14
従って
A→E→B→C→D→A または 
A→D→C→B→E→A の2通りでそれぞれ12分間が最短となります。

【問題2】の解答

この問題は一筆書きの問題と関連がありまして、この図形自体は一筆書きが可能です。
それは有名な一筆書きの定理、
「有限個の点を有限個の線で結んだ図形(グラフ)が一筆書きできるための必要十分条件は、グラフの勝手な2個の頂点を結ぶ辺(線)の列があり(連結)、かつ奇頂点(1個の頂点から出ている線の数が奇数の頂点)の個数が0または2である。」

によります。

具体的には、Dをスタート地点として
D→A→C→D→E→C→B→E→A→B

または、Bをスタート地点として
B→A→C→D→E→C→B→E→A→D

などのルートで可能ですが、必ず奇頂点がスタート地点でないとできません。
(奇頂点がスタートでない(途中にある)と、その頂点へは入→出→入となって最後の点になってしまいますがそのような点が2つあるのは矛盾しているので。)

従って、この問題でもA地点をスタートしては一筆書きは不可能です。
ところがすべての地点が偶頂点であれば可能です。
具体的には、もしBとDを結ぶ線があればすべての頂点が偶頂点となりますので、

A→(B→D)→E→C→B→E→A→C→D→A・・・・(1)
A→(B→D)→E→C→B→E→A→D→C→A・・・・(2)
A→E→C→(B→D)→E→B→A→C→D→A・・・・(3)
A→E→C→(B→D)→E→B→A→D→C→A・・・・(4)
A→E→(B→D)→E→C→D→A→B→C→A・・・・(5)
A→E→(B→D)→E→C→D→A→C→B→A・・・・(6)
A→B→E→C→(B→D)→E→A→C→D→A・・・・(7)
A→B→E→C→(B→D)→E→A→D→C→A・・・・(8)
A→B→E→D→C→(B→D)→A→E→C→A・・・・(9)
A→B→E→D→C→(B→D)→A→C→E→A・・・・(10)
(逆ルートも同じ)で一筆書きが可能です。

ところが問題図ではB→Dの線がないので複数の線の組み合わせで代用する(代わりのルートを使用する)しかありません。

B→Dを2辺で代用する組み合わせは、次の3通り

 B→C→D 合計3分
 B→E→D 合計6分
 B→A→D 合計6分

となり、B→C→Dのルートが最短となります。

以上より
上記(1)〜(10)のうちB→DをB→C→Dで置き換えた

A→B→C→D→E→C→B→E→A→C→D→A
A→B→C→D→E→C→B→E→A→D→C→A
A→E→C→B→C→D→E→B→A→C→D→A
A→E→C→B→C→D→E→B→A→D→C→A
A→E→B→C→D→E→C→D→A→B→C→A
A→E→B→C→D→E→C→D→A→C→B→A
A→B→E→C→B→C→D→E→A→C→D→A
A→B→E→C→B→C→D→E→A→D→C→A
A→B→E→D→C→B→C→D→A→E→C→A
A→B→E→D→C→B→C→D→A→C→E→A
逆ルートも含めると
A→D→C→A→E→B→C→E→D→C→B→A
A→C→D→A→E→B→C→E→D→C→B→A
A→D→C→A→B→E→D→C→B→C→E→A
A→C→D→A→B→E→D→C→B→C→E→A
A→C→B→A→D→C→E→D→C→B→E→A
A→B→C→A→D→C→E→D→C→B→E→A
A→D→C→A→E→D→C→B→C→E→B→A
A→C→D→A→E→D→C→B→C→E→B→A
A→C→E→A→D→C→B→C→D→E→B→A
A→E→C→A→D→C→B→C→D→E→B→A
の20通りが28分で最短となります。

(感想)

問題1は最短ルートの場合を分けて根気よく調べていけばわかります。
問題2はすべての辺の和は25(分)でかつ、Aからスタートして一筆書きができないので時間は多分間違いないと思いますが、ルートがどうも上記(1)〜(10)ですべて出し尽くしているかどうかは自信がありません。


◆福岡県 中山 さんからの解答。

「問題1」

A→D→C→B→E→A の順に移動すれば、12分で巡回できる

「問題2」

A→B→C→A→D→C→E→D→C→B→E→A
の順に移動すれば、28分で巡回できる

 問題1は、1分や2分の道を利用することで、12分で巡回できます。
このルート(またはその逆の手順)が最短の道のりです。
問題2は、B→Dという道があれば一筆書きの要領で巡回できることを考慮して、B→DのかわりにB→C→D(もしくはD→C→B)という手順を加えることで、最短の28分で巡回できます。
解答は最短手順の一例で、他の巡回ルートも考えられます。

今回の問題は、一筆書きの法則を知っていれば割と解きやすい問題のようですね。


◆奈良県 岸本 大和 さんからの解答。

【問題1】

A→D→C→B→E→A 12分
(A→E→B→C→D→Aでも同じ)

【問題2】

ケーニヒスベルクの橋を思い出しました。

  1. 図を観察すると、各地点から出ている道の本数は、BとDだけが3本(奇点)他は4本(偶点)。

  2. 題意から、Aから出発して、Aに戻る一筆がきができればベスト。

  3. 一筆がきの性質(後述)から、奇点である、BまたはDから出て、DまたはBに着くルートは設定できる。
    しかし、Aから出てAに戻る一筆がきのルートは、作れない。

  4. Aから出てAへ戻るルートが設定できる条件は、すべて偶点

  5. これまでの考察で、問題は、どこかの道を重複して通る、つまり同じ道の上に、道を追加すると考えて、追加する道の所要時間の合計がなるだけ少ない方法で、4の条件を満たすようにする、 という問題に帰着できる。

  6. DとBに追加して、すべて偶点にするのが手っ取り早い。
    簡単な視察から、C・Dに1本、B・Cに 1本追加すると、すべて偶点となる。

  7. 時間の合計は、すべての道を1回通る時間25分に、追加した 1+2=3分を加えた 28分。

  8. ルートの例は、A→B→C→A→D→C→B→E→C→D→E→A etc。
以上

一筆がきの各点は
@書き始めかつ書き終わり
A通過点
B書き始めであり、書き終わりでない
C書き始めでなく、書き終わり

の4種類で、@Aは偶点、BCは奇点。
定義から奇点がゼロまたは2個の場合のみ一筆がきが可能。


◆静岡県 ぶん さんからの解答。

【問題1】

最低12分です。

A→(2)D→(1)C→(2)B→(3)E→(4)→A

【問題2】

(悪魔のささやき ヒント を見てしまった)
ひとふでがきができればいい。
なるほど。

一筆書きができるためには、奇数本の線が出ている点が2個か0である必要がある。
この問題の場合は、B,Dが奇数本であとは偶数本。
ということは、BかDからスタートすれば一筆書きができる。

でも、本問の場合はAからスタートしてAに帰るということなので、BとDを結ぶ経路を作ってしまえばいい。
こうすれば、BからでてBにもどることができる。
つまり、閉じた輪ができるのだから、AからAに戻ることも同じ。

経路に要する時間を考えて、BC間、CD間にもう1ぽんずつ経路を作ってしまいましょう。

全部の経路の時間を合計すると25分なので、BC,CDの3分をあわせた28分が正解!

たとえば
A→(4)B→(2)C→(3)A→(2)D→(1)C→(2)B→(3)E→(3)D→(1)C→(3)E→(4)A

これって、全部で何通りの答えがあるのだろうか?
樹系図を書こうと思ったけど止めました。


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