『正方形内部の三角形』解答


◆宮城県 甘泉法師 さんからの解答。

xy座標上に
点A(
2
,0), B(0,
2
), C(-
2
,0), D(0,-
2
)をとる。

点P,Q,Rの点Aから□ABCDの周上の右回りの道のりの長さを
それぞれs1<s2<s3とする。

P(x(s1),y(s1)) Q(x(s2),y(s2)) R(x(s3),y(s3))とすると、重心Gは
G(xG,yG)=( x(s1) + x(s2) + x(s3)
3
, y(s1) + y(s2) + y(s3)
3
)

ここで

x(s) = 1
*(1-s) :0≦s≦2
x(s) = 1
*(s-3) :2≦s≦4

y(s) = 1
*s :0≦s≦1
y(s) = 1
*(2-s) :1≦s≦3
y(s) = 1
*(s-4) :3≦s≦4

0≦s≦4の区間の外でも同じ振る舞いを周期的に繰りかえすとする。
x(s+4)=x(s)。y(s)=x(-s+1)。

0≦s1≦s2≦1≦s3≦2 の場合  同じ辺に2頂点が、その隣の辺に1頂点がある。
S= (s2-s1)(s3-1)
2
よって s3= 2S
s2-s1
+ 1


これからs3を消去できて、
3xG = 1
*{2 - (s1 + s2) - 2S
s2-s1
}

3yG = 1
*{1 + (s1 + s2) - 2S
s2-s1
}

ここで 0≦ s1 ≦ 1-2S, s1+2S ≦ s2 ≦1

0≦s1≦s2≦1, 2≦s3≦3 の場合  同じ辺に2頂点が、その対辺に1頂点がある。
S= s2-s1
2

よって s2 = 2S + s1
これからs2を消去して
3xG =- 1
*{1+ (2S - s3 + 2s1)}

3yG = 1
*{2+ (2S - s3 + 2s1)}

ここで 0≦ s1 ≦ 1-2S, 2≦s3≦3

xGとyGの関係式も容易に導くことができて
yG = -xG +
6

xGの変域は -
6
*(1-2S) ≦ xG ≦
6
*(1-S)

0≦s1≦1≦s2≦2≦s3≦3 の場合 異なる3辺にそれぞれ1頂点がある。

S = 台形PBCR - △PBQ - △QCR
= (1-s1)+(s3-2)
2
-(1-s1)(s2-1)
2
-(2-s2)(s3-2)
2

2S = 4 - 2s1 - s3 - 3s2 + s1s2 + s2s3

よって

s2= - 4 + 2S + 2s1 + s3
-3 + s1 + s3
 = 1 + - 1 + 2S + s1
-3 + s1 + s3

これからs2を消去して
3xG = 1
*( -1 - s1 - s2 + s3 )
 = 1
*{ -2 + (s3 - s1) -- 1 + 2S + s1
-3 + s1 + s3
}---(1)


3yG = 1
*( s1 + 4 - s2 -s3)
 = 1
*{ 3 - (s3 - s1) -- 1 + 2S + s1
-3 + s1 + s3
}

ここで 1 - 2S ≦ s1≦1  かつ 2(1+S) ≦ s3 ≦3
または 0 ≦ s1≦1 - 2S  かつ 2 ≦ s3 ≦ 2(1+S)

題意の領域は、以上の点Gの領域にD4とよばれる二面体群の変換

 なにもしない
 原点を中心に90度回転
 原点を中心に180度回転
 原点を中心に270度回転
 x軸に関して折り返す
 y軸に関して折り返す
 直線y=xに関して折り返す
 直線y=-xに関して折り返す

を施して得られる領域の和集合が求める

【コメント】

コンピュータでの作図に不慣れなため図示できません。


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【モンテカルロ】

まず、どんな風になるのか モンテカルロ法でシミュレ−ションした。
下記に結果を示す。

Sが小さいと角の丸い大きな正方形内部である。(黒)
Sが大きくなるに従い、角の丸みがとれ正方形に近づく(黒→暗青程度)
途中で中央に丸い穴があき(茶)、最後に辺長が1/3の正方形の辺上のみとなる。(青線)

【解答】

(1)S≦
: 角が双曲線の正方形 詳細は図1()参照。
(2)
>S>
:(1)の内部でかつ中央双曲線()で囲まれた丸いまった正方形の内部を除く部分。詳細は図1参照。
(3)
=S:一辺
の正方形の上 {(2)の極限ではあるが 特出しした}
 
   図1 重心存在範囲  (曲線の式は 重心G(x,y) が x,y<1/2の場合のみであり 他は対称である) 

【証明】

3角形の頂点を(x1,y1),(x2,y2),(x3,y3) とするとき Sは下式である。
  

この式は X=(x1,x2,x3) Y=(y1,y2,y3) U=(1,1,1) とするとき  X,Y,Uを辺とする平行6面体の体積の半分がSであることを示している。
いま G(x,y) を問題の対称性から 0≦y≦x≦0.5で そこを重心とする最大のSはいくらかを考える。
Gを固定したときのSの最大値は X,Yがそれぞれ取りうる値の領域である3角形または6角形(図中黄色)のおのおのにおいて、その領域の角に来るときである。
その組合せの中で最大Sを与えるのはX,Yが同じ面(x2=0) にある場合であることがわかる。
つまりX,YはGのx、yが小さな値から大きな値へ変化するとき、下図2の経路位置(X:赤 Y:青)において 最大値が得られる。



   図2 最大Sを与えるX,Yの軌跡

具体的にSを計算すると、

x≦
では


y≦
<x では



<y では


である。
以上より解答が導出される。


◆出題者のコメント。

Y.M.Ojisanさんの解答に対するコメントです。

Y.M.Ojisanさんの解答で正解です。
平行6面体の体積を考えるというのは気がつかなかったので、新鮮に思えました。
当初S=7/16の時の、重心Gが存在する範囲を図示し、その面積を求めよとしようかなと思っていたのですが、中学生にも解いて欲しかったので、問題のようにしました。
結構考えにくい問題だと思います。

発展問題として、正方形を立方体に代えて、重心の存在範囲の体積を求めるなどが考えられます。


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