『4基のミサイル』

『4基のミサイル』解答


 説明用のアニメーションをつけました。
ForwardまたはBackをクリックするとミサイルが一こまずつ、進んだり戻ったりします。
Autoをチェックしてから、ForwardまたはBackをクリックすると自動的に動きます。
Traceをチェックすると軌跡を表示します。


◆東京都 フェイクさんからの解答。

 解けたわけではないけれども感想を書きます。
私は高校一年生の時にこれと同じようなことを考えたことがありました。
その時もこの問題と同じような設定でやっていたのですが、この問題では二つの場合を考える必要があると思います。

一つ目の場合はロケットの大きさがない時です。
もう少しわかりやすく言うとロケットを点としてとらえるときです。
この時には、やってみると分かると思いますが、ロケットは他のロケットを追いながら少なくとも一周(定義は後で)するので、帰納的に (相似の考えを使えば)何回も回り続けることが分かると思います。

そして次の場合です。すなわち大きさがあるときです。
これは難しいと思います。
というのは、ロケットAにロケットDがどのようにぶつかっていくか(少なくともその時の僕には)分からなかったからです。
だから、せめてロケットは円であるとか設定した方が解き易いのではないでしょうか。
なぜなら、円に設定しておくと、どんな風にぶつかるとしても二つのロケットの間の距離と半径の二倍との距離を比べればよいからです。
円でない場合を解くのはそれが終わってからでいいと思います。
というか、円の場合が解けたら後はどんな風にぶつかるかを調べるだけで良いのですから。
先ずそれを解いてからにしたらよいのではないでしょうか。

あと、証明はしていないけれども、気付いたこと(あっているかどうかは知りません)を書いておくと

四角形A(t)B(t)C(t)D(t)は対角線の交点がOである正方形であり、
正方形A(t)B(t)C(t)D(t)との相似比は1:c

但し、cは1未満の正数でロケットの速度と距離ABのみに関わる定数。

定義:
ABCDが出発からt秒後に点A(t)、点B(t)、点C(t)、点D(t)にあるとする。
四角形A(0)B(0)C(0)D(0)はもちろん正方形だが、その対角線の交点をOとする。
OA(0)∋A(t)を満たすtが(n+1)個存在するときn周回ったということにする。

P.S.上に書いたことが証明できれば、ロケットの形に関わらず問題の答えがでると思います。
あと、ロケットはミサイルの間違いです。(私のときはロケットでした。)


◆宮城県 斉藤 誠さんからの解答。

 各ミサイルは追いかけるミサイルの進行方向と常に直角に進行するので、距離は追いかけるミサイルにのみに関係するので
500km飛行すれば命中する。

納得しにくいので計算します。
ここで、各ミサイルの軌跡を調べてみます。
 正方形ABCDの中心をOとし、OAを a、ほんの少し進んだ(回転した)正方形をA’B’C’D’ としOA’の距離を rとする。
さらに回転したものをA''B''C''D''とする。

 点Aの軌跡 r=f(θ)(θ=角AOA’)を考えると、正方形が少し回転したときも同じ関係なので、

  f(θ) =n・f(θ+Δθ)

の関係を満足する関数である。

r=k・eが該当する。

 ここで、点Aにおける接線がABであるので角OAB=45度を利用すると b=−1になる。

(求め方:上記の関数をXY平面で媒介変数方程式で表し、
θ=45度、 Δy
Δx
=−1の関係から求まる。

θは何度でもいいのだが計算に都合のいい角度とした。)

よって、初期値 k=aなので r=a・e−θ となる。

 次に軌跡の距離を求めます。
 元の点Aとほんの少し回転した時の点A’の距離を求め、次にまたほんの少し回転した時のA’A''の 距離を求める。
これを繰り返し r=0(θ=∞)になるまでの距離を合計する。

 さて、三角形AOA'で余弦定理より

AA'2=OA2+OA'2−2・OA・OA'・COS(Δθ)

AA' =

このAA’を r=aから0まで積分するのですが、r、r'もθの関数なので難しく、私には自信がないのでパソコンで求めました。

Δθ=10万分の1として計算すると1.41419x a になりました。約正方形1辺の長さです。

 物理的な大きさを考慮すると
ミサイルの長さを10m(半分が5m)と仮定すると10万分の1なので

=10−5=e−θ

両辺の対数をとりθを求めると、

θ=5Ln10=11.5rad=660度。

軌跡の関数がなかなか求まらず苦労しました。
無限回転しても長さが決まっているのが不思議です。


【コメント】

 微積分を使わなくとも、答えはでるのでしょうが、説得力が違いますね。
水の流れさんは、授業の中では1辺の長さが10cmから、1cm刻みに10枚の正方形を重ねたものを準備して、少しづつ真ん中を中心にしてずらしながら、そのときのミサイルの位置を示しているそうです。


◆GOFY・和人 さんからの解答。

 問題を簡単にするために、ミサイルの体積はZERO、点として扱う。
また「地球の形状を考えて球面幾何学で解くと・・・」なんてことはやめる。
「それでも地球は平面だった」です。
そうしないと私には解けないから・・・

その条件で作図と微分的な発想が結びつけば、この問題はめんどうな計算なしで解け(ると思い)ます。
なお勝手ながらミサイルA,B,C,D,はMa,Mb,Mc,Mdと置き換えさせていただきました。

[条件の確認]

題意によりミサイルは同時に発射され、各々同じ加速度、同じ最高速度で進むと理解される。
実際のミサイルは適当な高度を得るために、平面投影距離よりも大きな距離を飛行するはずだが、 題意によりそれは無視するものと理解される。
同じく題意により、各ミサイルは四つ巴に前方のミサイルを自動追尾するものと理解される。
(そうでなければ問題があまりにも単純になってしまう)

[解答]

ミサイルが互いに接するまでの距離は500Km、その位置は正方形の重心である。

[考え方]

4基のミサイルの初期位置は図の点A,B,C,Dにある。

それぞれのミサイルをMa、Mb、Mc、Mdとする。

発射された瞬間は、Maは点Bを、Mbは点Cを目指して飛び出すが、非常に微少な時間が経過したとき、Mbは点Cに向かって動いているので、Maは正方形の少し内側、点a”に到達するであろう。

同様にMbは点b”に、Mcは点c”に、Mdは点d”に同時に到達する。

このときMaの軌跡に注目すると、何らかの曲線と思われるが、非常に微少な時間経過なのでその曲線の長さは 線分Aa”に限りなく近い。
また線分Aa’との差も限りなくZEROに近い。

そこで図を見直すと微少時間後、4基のミサイルは1辺の長さがAB−Aa’である「内側の正方形」の各頂点にいることになる。

このわずかに小さな正方形の各頂点を新しい基点として、あとはこれを繰り返すだけである。
見方を変えれば4基のミサイルは「重心を変えずに、回転しながら収縮する正方形の、頂点に乗せられて」移動しているのである。
正方形A,B,C,Dの重心で4基のミサイルが接するのは自明である。

同じく正方形の各辺がZEROになる時に4基のミサイルは接する。
つまり各ミサイルは線分ABの長さ500Kmを飛行して接する。

念のために。 微少な時間の経過後、4基のミサイルは1辺の長さがAB−Aa’である正方形の各頂点にいた。
また図の曲線の長さAa”は線分Aa’に限りなく近かった。
そしてこの正方形の1辺が線分ABだけ縮小すると面積がZEROになる。
よってこれらのミサイルは何らかの曲線に沿って、距離ABだけ進むと接することになる。


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