◆宮城県 tellurium さんからの解答。
2通りの解答を考えました.
問題の多項式をf(a,b,c,d)と置きます.
(1) 変数を減らす方法
fが整数係数の1次多項式の積に分解されるならば, b,c,dに任意の整数を代入した多項式はaの整数係数の1次式に分解されなければならない.
そこでb,c,dに全て1を代入すれば
-f(a,1,1,1)=(a+3)(a-1)3-ka=a4-6a2-(k-8)a-3.
この多項式が整数係数の1次式に分解されるならば, 根をs,t,u,vとして
s+t+u+v=0, stuv=3, s,t,u,v∈{-3,-1,1,3}.
これらの条件を充たすs,t,u,vの組は順序を無視して
(3,-1,-1,-1), (-3,1,1,1)
の2通り. それぞれについて
(a-3)(a+1)3=a4-6a2-8a-3,
(a+3)(a-1)3=a4-6a2+8a-3
となるから, k=0またはk=16.
k=0のとき
f(a,b,c,d)=-(a+b+c+d)(a+b-c-d)(a-b+c-d)(a-b-c+d),
k=16のとき
f(a,b,c,d)=-(a-b+c+d)(a+b-c+d)(a+b+c-d)(a-b-c-d).
以上より求める条件はk=0またはk=16.
(2) 対称性を利用する方法
fはa,b,c,dについての対称式なので
もしfがある1次式g=sa+tb+uc+vdで割り切れれば
(a,b,c,d)の任意の置換σに対してσ(g)はfを割り切る.
このようなσ(g)の全体をSとすると,fは4次式なのでSは高々4つの元からなる集合である.
従ってgの係数s,t,u,vのうち3つは等しくなければならない.
もしs,t,u,vのうちちょうど3つが等しければp,qを相異なる数として
f(a,b,c,d)=(pa+pb+pc+qd)(pa+pb+qc+pd)(pa+qb+pc+pd)(qa+pb+pc+pd).
a4の係数を比較して, p3q=-1,
a3bの係数を比較して,
p4+2p3q+p2q2=0.
これよりp4=1, q=-pが得られて,
f(a,b,c,d)=(a+b+c-d)(a+b-c+d)(a-b+c+d)(-a+b+c+d), k=16.
もしs,t,u,vが全て等しければfはa+b+c+dで割り切れるから, k=0.
以上よりk=0またはk=16.
(2)ではfを割る1次式の係数が整数であることを用いていません.
つまり, fが複素数係数の1次式の積に因数分解されるのもk=0,16の場合に限ることが分かります.
◆三重県 鳥居 さんからの解答。
S=(a+b+c+d)(-a-b+c+d)(-a+b-c+d)(-a+b+c-d)+kabcd とおく。
a,b,c,d についての1次多項式の積になるために、
S は a+pb+qc+rd (p,q,r は a,b,c,d の値に関係しない数)という因子を持つと仮定する。
このとき、a=-pb-qc-rd を上式に代入すると S=0 である。
0=[(1-p)b+(1-q)c+(1-r)d][(-1+p)b+(1+q)c+(1+r)d][(1+p)b+(-1+q)c+(1+r)d][(1+p)b+(1+q)c+(-1+r)d]+kabcd右辺の b4,c4,d4 の係数はいずれも 0 であることから、
0=-(1-p)2(1+p)2
0=-(1-q)2(1+q)2
0=-(1-r)2(1+r)2
以上より、p=±1, q=±1, r=±1 が要求される。
ここで、±はすべての組み合わせを取るため、(p,q,r) は8個の解がある。
このうち、
(p,q,r)=(1,1,1), (1,-1,-1), (-1,1,-1), (-1,-1,1) については、
0 = kabcd より、k=0 が従う。
また、(p,q,r)=(1,1,-1) のときには、
0=2d2c2b(2b+2c-2d)-k(b+c-d)bcd より、k=16 が従う。
(p,q,r)=(1,-1,1), (-1,1,1), (-1,-1,-1) に対しても、
同様にして、いずれも k=16 が従う。
よって、k=0,16 である。
k=0 に関しては、
S=(a+b+c+d)(-a-b+c+d)(-a+b-c+d)(-a+b+c-d) である。
k=16 に関しては、
S=(a+b+c-d)(a+b-c+d)(a-b+c+d)(-a+b+c+d) である。