『平方の差』解答


◆福島県 K_appa さんからの解答。

【問題1】

実験をしてみると

x/y

   0  -3  -8 -15 -24 -35 -48 -63 -80 -99-120-143-168-195-224-255-288
   3   0  -5 -12 -21 -32 -45 -60 -77 -96-117-140-165-192-221-252-285
   8   5   0  -7 -16 -27 -40 -55 -72 -91-112-135-160-187-216-247-280
  15  12   7   0  -9 -20 -33 -48 -65 -84-105-128-153-180-209-240-273
  24  21  16   9   0 -11 -24 -39 -56 -75 -96-119-144-171-200-231-264
  35  32  27  20  11   0 -13 -28 -45 -64 -85-108-133-160-189-220-253
  48  45  40  33  24  13   0 -15 -32 -51 -72 -95-120-147-176-207-240
  63  60  55  48  39  28  15   0 -17 -36 -57 -80-105-132-161-192-225
  80  77  72  65  56  45  32  17   0 -19 -40 -63 -88-115-144-175-208
  99  96  91  84  75  64  51  36  19   0 -21 -44 -69 -96-125-156-189
 120 117 112 105  96  85  72  57  40  21   0 -23 -48 -75-104-135-168
 143 140 135 128 119 108  95  80  63  44  23   0 -25 -52 -81-112-145
 168 165 160 153 144 133 120 105  88  69  48  25   0 -27 -56 -87-120
 195 192 187 180 171 160 147 132 115  96  75  52  27   0 -29 -60 -93
 224 221 216 209 200 189 176 161 144 125 104  81  56  29   0 -31 -64
 255 252 247 240 231 220 207 192 175 156 135 112  87  60  31   0 -33
 288 285 280 273 264 253 240 225 208 189 168 145 120  93  64  33   0
この表から求めるmは

m = 2t*n + t2(n,tは任意の整数)

と推測できます、これを数学的帰納法でしめす:

:
2t*n + t2 →x2-y2を示す

m≧0に限定しても一般性は失われないので、
n=1,t=1の時、2t*n+t2=3,
この時x = 2, y = 1で成り立つ

n=a, t=bのときに
2ab+b2 = x2 - y2
が成り立つと仮定すると:
(i)n=a,t=b+1の時:
a(b+1)*a+(b+1)2= (2ab+b2) + 2(a+b)+1

ここで、x=s+1,y=sの時、
x2-y2 = s2+2s+1-s2=2s+1
s=a+bとすれば成り立つ

(ii)n=a+1, t=bの時:
2b(a+1)+b2 = (2ab+b2) + 2b

ここで、x=s+2, y=sの時
x2-y2 =s2+4s+4 - s2 = 2(2s+2)
2s+2=bとすれば成り立つ

:
x2-y2→2tn+t2を示す

同じく数学的帰納法で示す:
x=1,y=1の時、x2-y2=0, t=0,n=0で成り立つ

x=a,y=bの時、a2-b2=2tn+t2と仮定すると
(i)x=a, y=b+1の時:
a2-(b2+2b+1)=(a2-b2) - (2b + 1)

ここで、n=s, t=1とすれば、2s+1となり
s=bとすれば成り立つ

(ii)x=a+1, y=bの時:
(a+1)2-b2 = (a2-b2) +(2a + 1)

同様にして、n=s, t=1とすれば:2s+1となり
s=bとすれば成り立つ

以上により題意は示された


◆東京都 T.Kobayashi さんからの解答。

【問題1】

偶奇性のことを parity と書きます。

(i) m が奇数のときは、x=(m+1)/2, y=(m-1)/2 と置けば、
m=x2-y2.

(ii) m が 2 でただ一回だけ割れるときは、m=(x+y)(x-y) で、
x+y, x-y の parity は一致するから、題意を満たす x, y は存在しない。

(iii) m が 4 で割りきれるとき、上の理由により、a, b を整数として、
x+y=2a, x-y=2b と書ける。
x=a+b, y=a-b だから、x, y を決めれば勿論a, b が決まるが、a, b を決めると x, y が決まる。
そして m=4ab だから、a, b を適当に選ぶことによって
m=x2-y2 と書ける。

以上より、「書ける」必要十分条件は、m!=2 (mod. 4) である。

【問題2】

(i) m=4k+1 のとき、x= m+1
2
, y= m-1
4
と置けば、
m=x2-4y2.

(ii) m=4k-1 のとき、x2+1 は 4 で割りきれないから書けない。

(iii) m が 2 でただ一回だけ割れるときは、m=(x+2y)(x-2y) で、
x+2y, x-2y の parity は一致するから、題意を満たす x, y は存在しない。

(iv) m が 4 で割りきれるとき、上の理由により、a, b を整数として、
x+2y=2a, x-2y=2b と書ける。
すぐ分かるように x は偶数である。

x=a+b, y= a-b
2
だから、a, b の parity は一致していなければならないが、
x (偶数), y を決めれば勿論 a, b (parity 一致) が決まるが、
a, b (parity一致) を決めると x (偶数), y が決まる。

そして m=4ab だから、

(ア) 22 | m または 16 | m のときは、a, b を適当に選ぶことによって
m=x2-4y2 と書ける。
(イ) 23 | m のときはどう a, b を選んでも書けない。

以上より、「書ける」必要十分条件は、m=0, 1 (mod. 4) かつ !=8 (mod. 16) 。


◆出題者のコメント。

K_appa さん、T.Kobayashi さん解答ありがとうございます。

>K_appa さん
予想は正しいようですが、残念ですが証明は見当違いです。

>n=a, t=bのときに
>2ab+b2 = x2 - y2
が成り立つと仮定すると:
(i)n=a,t=b+1の時:
a(b+1)*a+(b+1)2= (2ab+b2) + 2(a+b)+1

>ここで、x=s+1,y=sの時、
まずこう置く事は出来ません。
なぜなら、xもyもaとbの値によって、定められる値だからです。
よって、うまくx=s+1,y=sと置ける保証は何処にもありません。

x2-y2 = s2+2s+1-s2=2s+1
s=a+bとすれば成り立つ

よって、同様に
>ここで、x=s+2, y=sの時
も無意味です。
xもyもaとbの値によって、定められる値だからです。
よって、うまくx=s+2,y=sと置ける保証は何処にもありません。

>x2-y2 =s2+4s+4 - s2 = 2(2s+2)
>2s+2=bとすれば成り立つ


あと、bが偶数である保証もありません。

>x=a,y=bの時、a2-b2=2tn+t2と仮定すると
(i)x=a, y=b+1の時:
>a2-(b2+2b+1)=(a2-b2) - (2b + 1)
>ここで、n=s, t=1とすれば、2s+1となり
やはり、ここでもnとtはaとbによって定まる値であり
n=s,t=1と置ける保証はありません。

>s=bとすれば成り立つ
n=sでしたよね。
n=s=bと置ける保証もありません。

(ii)x=a+1, y=bの時:
>(a+1)2-b2 = (a2-b2) +(2a + 1)

>同様にして、n=s, t=1とすれば:2s+1となり
やはり、ここでもnとtはaとbによって定まる値であり
n=s,t=1と置ける保証はありません。

第一、帰納法を使わずとも
a=n+t,b=nとおけば、2t*n + t2=(n+t)2-n2=a2-b2と書けますね。

>T.Kobayashi さん
論理的には完璧です。

でも、mが4の倍数のときm=x2-y2を示す証明
mが16の倍数のときm=x2-4*y2を示す証明
はもっと簡略化できます。

mが奇数のときと同様にxとyをmの式で書く事が出来ます。

引き続き解答を募集します。


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