『凸多角形の7分割』解答


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

【解答】

存在しない。

【証明】

(あ)凸多角形→3角形への変換

仮にそのような凸多角形があったとして、下図のような仮想三角形ABCを考えます。
この三角形はその辺が凸多角形と3直線の交点(6個)を下図のように通過する三角形です。

このとき、仮想三角形と3直線でできる四角形(下図 [2]〜[7])の面積は中央の三角形[1]の面積と比較して前提(凸であることと各面積が等しいこと)より次の条件を満足します。 

A[1]≦A[2] , A[1]≦A[4] , A[1]≦A[6]  ―――(1)
A[1]≧A[3] , A[1]≧A[5] , A[1]≧A[7] ―――(2)

(い) 関係式(1)(2)が両立しないこと

(2)よりA[1]≧A[3]です。
従ってABを平行に外にずらすことにより
A[1]=A[3’]とすることができます。
またこのときA[2]とA[4]は増加します。

即ちA[1]≦A[2]≦A[2’], A[1]≦ A[4]≦A[6’]です。

同様にBC,CAを平行移動することにより、次の関係が必要条件になります。
ここで 「’」は移動後の対応図形を示します。

1≦A[2’]/A[1] , 1≦A[4’]/A[1] , 1≦A[6’]/A[1] ―――(3)
1=A[3’]/A[1] , 1=A[5’]/A[1] , 1=A[7’]/A[1] ―――(4)

さて(3)(4)は全て面積比の関係です。
正則線形な写像に対して面積比は不変です。
したがって、中央の三角形を面積1(A[1]=1)の直角2等辺三角形に限定しても一般性は失われません。

この三角形の直角点を原点とし、斜辺以外をX,Y軸とする座標を考えます。

まず基準の状態として仮想三角形A’B’C’が下図の赤破線三角形のように[1]の各辺ごとに平行な場合を考えます。
このとき(4)の条件下では
A[2’]=A[4’]=A[6’]=6-4<1です。
即ち、(3)を満足しません。

A[6’]を1以上に大きくするには、A’かB’か両方をそれぞれY軸X軸へ近づけるように移動させなければなりません。
両方を近づけたときはA[2’]又はA[4’]の一方がさらに小さくなり(3)を満足しません。
{下図青三角形参照。A[2’]の方がさらに減少}

限界は一方を平行に保ったままいずれかを近づける場合です。
ここでは、A’を近づける場合で代表します。
下図緑三角形参照。

この場合A[6’]=1となるのは下図から分かるように
A’C’が(-,0)と(0,)を通過する場合であり(Y軸対称)
A’B’がどのような位置であろうとA[2’]=0になり(3)を満足していません。

さらに、A[6’]>1の場合はそもそも7分割することができていません。
(緑三角形も実は頂点の位置が最初の仮想三角形の作り方から限定される領域を外れているのですが、これは使わなくても良いようです。)

 以上で(1)(2)が両立しないことが示されました。
よって題意を満たす3直線は存在しません。

【感想】

なるほど。良い問題だと思います。


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