『凸六角形の分割』解答


◆山梨県 Footmark さんからの解答。

【答え】

不可能です。

【証明】

凸多角形を1本の線分で分割したとき、分割後の各2つもやはり凸多角形である。
そこで、分割前を凸n(≧3)角形、分割後を凸多角形、と便宜上呼ぶものとする。

1本の線分が凸n角形を分割しているなら、その分割線は必ず凸n角形と2交点を持つ。
よって、凸n角形の辺であるn本の線分と、1本の分割線の合わせて(n+1)本の線分が存在する。

ところが、(n+1)本の線分は、2つの凸多角形の辺として数えるときは以下となる。
・ 分割線は両方の凸多角形において1辺に数える。
・ 分割線の交点が元の凸n角形の辺にあると、その辺は両方の凸多角形において1辺に数える。

すると、元の凸n角形での2交点の位置により、2つの凸多角形の合計辺数は以下となる。
・ 2頂点のとき    : (n+2)+0
・ 1頂点と1辺のとき : (n+2)+1
・ 2辺のとき     : (n+2)+2

よって、2つの凸多角形において、辺数の少ない(等しくてもよい)方の最多辺数は、|n/2|+2 である。
(ただし、||はガウス記号)

明らかに、n=6では辺数の少ない方の最多辺数は5である。
よって、凸六角形を1本の線分で分割して、2つの凸六角形にすることはできない。

また、3以上のどんなnであっても、n<|n/2|+2 となることはあり得ない。
よって、分割線を何本に増やそうが、分割後を凸六角形だけにするのは不可能である。

証明終わり。


◆北海道 小西 さんからのコメント。

Footmarkさんの解答へのコメント。

> また、3以上のどんなnであっても、n<|n/2|+2 となることはあり得ない。
> よって、分割線を何本に増やそうが、分割後を凸六角形だけにするのは不可能である。

ここで言いたいのは、
「3以上のどんなnであっても、分割後を凸n角形だけにするのは不可能」
ということですよね?

例えば、凸八角形の向かい合った辺をそれぞれ2分するように分割線を引けば2つの凸六角形ができますから。

ところでこの問題、こういう分割線も考えなければならないのでは?


◆山梨県 Footmark さんからのコメント。

示されている分割線の例が、どちらも図形を横切る直線だったので、そういった分割線だと思ってしまいました。

確かに、「凸六角形を何本かの図形を横切る直線で二つ以上の凸六角形に分割する事はできるでしょうか。」 とは書いてないので、小西さんのご指摘のとおりですね。 

私の早とちりでした。(^^;


◆東京都 tensor さんからの解答。

A: 多角形, v: Aの頂点 に対し

s(v):= 1 (vの内角<πの時), -1 (vの内角>πの時)

s(A):= Σs(v) (但しΣはTの全ての頂点vについての和)

A-B: 多角形Aから(Aに含まれる)多角形Bを切り取った図形

とする。

補題:

多角形Aから多角形B(≠A)を、A-Bが多角形になる(つまり、2つ以上に分かれたり穴が空いたりしない)ように切るとき、

s(A) - s(B) + 2 ≦ s(A-B) ≦ s(A) - s(B) + 6

が成り立つ。

特にAが凸多角形の場合、

s(A) - s(B) + 2 ≦ s(A-B) ≦ s(A) - s(B) + 4が成り立つ。

(証明: 数えるだけなので略。)

さて、ある多角形Aが凸n角形で分割できたとする。

このときAから凸n角形を、取り除いたものが多角形になるように、次々と取り除いていき、 凸n角形にすることができる。

・凸6角形を2つ以上の凸6角形で分割する場合

最初に、凸6角形Aから凸6角形Bを切り取ると、補題より、
s(A-B) ≦ s(A) - s(B) + 4 = 4

次に多角形A-Bを再びAに置き換えて別の凸6多角形Bを切り取っても
s(A-B) ≦ s(A) ≦ 4
となるのでこの多角形Aからどんなに凸6角形を切り取っても、凸6角形(このときs(A) = 6)になることはない。

同様にして、凸7角形を2つ以上の凸6角形で分割することは不可能。

また一般に、n ≧ 6, m ≦ 2n - 5のとき、
凸m角形を2つ以上の凸n角形で分割することは不可能。

・問題の拡張

C(n, k):={A: 多角形| A = k

i=1
A_i, A_i: 凸n角形, int(A_i)∩int(A_j) = φ (∀i ≠ ∀j)}
(int(A): Aの内部)

C(n):=

k=2
C(n, k)

問題:

C(n)はどんな集合か?

・部分解

命題1:

n = 3,4,5, A: 多角形 に対し、A ∈ C(n)

命題2:

∀n ≧ 6, ∀k ≧ 2, A: 凸m角形 に対し、
kn - 5k + 6 ≦ m ≦ kn - 2k + 2 ⇒ A ∈ C(n, k)

系2.1:

∀n ≧ 6, A: 凸m角形に対し、
∃k ≧ 2, kn - 5k + 6 ≦ m ≦ kn - 2k + 2 ⇒ A ∈ C(n)

系2.2:

高々有限個のmを除いて、凸m角形 ∈ C(n)

(証明: 具体的な分割の構成は難しくないので略。)

予想:

系2.1の逆が成り立つ。
(注: kが大きい場合命題2の逆は成り立たない。)


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