『ややこしい期待値 Part2』解答


◆千葉県 永山 祐介 さんからの解答。

2から7まで、それぞれの色数になる確率を求める。
最初の一回は必ず二色選ばれるので、二回目以降で、何色増えるかによって場合分けして考える。

2色になる確率:
新しく増える色数 (0,0,0)

3色になる確率:
新しく増える色数 (0,0,1), (0,1,0), (1,0,0)

4色になる確率:
新しく増える色数 (0,0,2), (0,2,0), (2,0,0), (0,1,1), (1,0,1), (1,1,0)

5色になる確率:
新しく増える色数 (1,1,1), (0,1,2), (0,2,1), (1,0,2), (1,2,0), (2,0,1), (2,1,0)

6色になる確率:
新しく増える色数 (0,2,2), (2,0,2), (2,2,0), (1,1,2), (1,2,1), (2,1,1)

7色になる確率:
新しく増える色数 (1,2,2), (2,1,2), (2,2,1)

それを元に、期待値を計算する。


◆愛知県 Y.M.Ojisan さんからの解答。

(1)同じことですが、つぎのように計算することもできます。
ここで、Pijはn-1回目においてVj色の状態からn回目においてVi色になる確率です。

Pi,i=i+1C2、Pi+1,i=(7-i-1)*(i+1)   Pi+2,i=7-i-1C2

期待値はE(4)=1776
343
=5.178

(2)7色状態の次の回の状態は無色になると考えた確率行列Q(Q66=0以外Pと同じ)を用いると期待値は下記です。
Qの固有値は全部1未満なので収束して、下記です。
詳細参照

I−Qは三角行列なので逆行列は容易に計算でき、
期待値=5693
660
=8.626

【詳細】

n-1
Σ
k=0
(xQ)k (xQ)n-1
xQ-1
をxで微分してx=1とします。

すると

n-1
Σ
k=1
kQ(xQ)k-1 -Q{(xQ)n-1}
(xQ-1)2
nQ(xQ)n-1
xQ-1
n-1
Σ
k=1
k(Q)k-1 1-Qn
(1-Q)2
nQn-1
Q-1

Qは下三角行列ですから固有値は対角成分であり
0〜15
21
<1です。

よってQn→0、nQn-1→0{n→∞}です。

なお、(1-Q)-1S は(1-Q)-1の第1列、
(0 0 0 0 0 1) (1-Q)-1 は(1-Q)-1の第6行で
これは(1 1 1 1 1 1)ですから、計算を節約することができます。


◆京都府 大空風成 さんからの解答。

まず、n箱から取り出したときの平均の玉の色の数を考える。
ただし、n≧4 とする。


すべての場合の数は、(7C2) n=21n 通り。

2色の玉が少なくとも1度は出る(5色の玉が出ない)のは、
特定の5色を除いた残りの2色だけをn箱から取れば、
(2C2) n=1nだから、
7C5×1n=21×1n 通り。
その確率は、 21×1n
21n
・・・(1)

3色の玉が少なくとも1度は出る(4色の玉が出ない)のは、
特定の4色を除いた残りの3色だけをn箱から取れば、
(3C2) n=3n 通りだから、
その3色のうち2色ばかり出る場合が含まれるのでそれを引くと、
7C4(3n-3C1×1n)
=35×3n-105×1n 通り。
その確率は、 35×3n-105×1n
21n
・・・(2)

4色の玉が少なくとも1度は出るのは、 以下、上と同様に考えて、
(4C2) n=6n 通りだから、
7C3(6n-4C1×3n+4C2× 1n)
=35×6n-140×3n+210×1n 通り。
その確率は、 35×6n-140×3n+210×1n
21n
・・・(3)

5色の玉が少なくとも1度は出るのは、 (5C2) n=10n 通りだから、
7C2(10n-5C1×6n+5C2× 3n-5C3×1n)
=21×10n-105×6n+210×3n-210×1n 通り。
その確率は、 21×10n-105×6n+210×3n-210× 1n
21n
・・・(4)

6色の玉が少なくとも1度は出るのは、 (6C2) n=15n 通りだから、
7C1(15n-6C1×10n+6C2× 6n-6C3×3n+6C4×1n)
=7×15n-42×10n+105×6n-140×3n+105×1n  通り。
その確率は、 7×15n-42×10n+105×6n-140× 3n+105×1n
21n
・・・(5)

7色の玉が少なくとも1度は出るのは、
21n-7C1×15n+7C2× 10n-7C3×6n+7C4×3n-7C5× 1n
=21n-7×15n+21×10n-35×6n+35×3n-21× 1n 通り。
その確率は、 21n-7×15n+21×10n-35× 6n+35×3n-21×1n
21n
・・・(6)



Xを取り出される玉の色の数、P(X)をその確率とすると、
n=4 のときの確率分布は、(1)〜(6)に順に代入すると、次のようになる。

X 2 3 4 5 6 7
P(X) 1
9261
130
9261
1630
9261
4320
9261
2820
9261
360
9261
1

玉の色の数の平均をE(X)とすると、n=4 のときは、
E(X)= 1
9261
+3× 130
9261
+4× 1630
9261
+5× 4320
9261
+6× 2820
9261
+7× 360
9261
=
47952
9261
=5 1647
9261
(色) (約5.2色)



次に、全7色を取り出すときの平均の箱の数を考える。

n箱から取り出して、7色の玉が少なくとも1度は出る確率は、(6)より、
21n-7×15n+21×10n-35× 6n+35×3n-21
21n
=1-7× ( 5
7
) n +21× ( 10
21
) n -35× ( 2
7
) n +35× ( 1
7
) n -21× ( 1
21
) n ・・・(7)

(n-1)箱から取り出して、7色の玉が少なくとも1度は出る確率は、(7)より、
1-7× ( 5
7
) n-1 +21× ( 10
21
) n-1 -35× ( 2
7
) n-1 +35× ( 1
7
) n-1 -21× ( 1
21
) n-1 ・・・(8)

n箱目で初めて全7色の玉が出たことになるのは、(7)から(8)を引けばよいから、
( 5
7
) n-1 -11× ( 10
21
) n-1 +25× ( 2
7
) n-1 -30× ( 1
7
) n-1 +20× ( 1
21
) n-1 ・・・(9)

Yを全7色の玉が初めて出たときの箱の数、E(Y)をその平均とする。
E(Y)=
  [ n k { ( 5
7
) k-1 -11× ( 10
21
) k-1 +25× ( 2
7
) k-1 -30× ( 1
7
) k-1 +20× ( 1
21
) k-1 } ]
lim
n→∞ k=4
=
  n k ( 5
7
) k-1 -11×   n k ( 10
21
) k-1 +25×   n k ( 2
7
) k-1 -30×   n k ( 1
7
) k-1 +20×   n k ( 1
21
) k-1 ・・・(10)
lim lim lim lim lim
n→∞ k=4 n→∞ k=4 n→∞ k=4 n→∞ k=4 n→∞ k=4

ここで、r≠1 だから、
n krk-1= 4r3+5r4+・・・+nrn-1 = (4-3r)r3-rn-(1-r)nrn+1
(1-r)2
k=4

r|<1のとき、→∞ ならば、→0、nr→0 だから、
  n krk-1= (4-3r)r3
(1-r)2
lim
n→∞ k=4
よって、これに
r= 5
7
, 10
21
, 2
7
, 1
7
, 1
21
を代入すると、順に 1625
196
, 6000
5929
, 176
1225
, 25
1764
, 9
19600

したがって、(10)より、
E(Y)= 1625
196
-11× 6000
5929
+25× 176
1225
-30× 25
1764
+20× 9
19600
=
8 413
660
(箱) (約8.6箱)

以上より、全7色の玉を取り出すまでに要する箱の数は、
8 413
660
(箱) (約8.6箱)


◆北海道 小西 儀紀 さんからの解答。

PDFファイル) 


◆出題者のコメント。

永山祐介 さん、Y.M.Ojisan さん、大空風成 さん、小西儀紀 さん、解答ありがとうございます。
どの解答も模範解答のように実にみごとですね。
もちろん、全員正解です。


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